こんにちは、ヒッチです。
小説の『吸血鬼ドラキュラ』の正式な映画化作品第1作にあたる
『魔人ドラキュラ』についてザックリ書いていきたいと思います。
ネタバレしますので、見たい人はこんなブログ読んじゃダメですよ~♪
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
※歴代の小説『吸血鬼ドラキュラ』の映画化作品まとめました♪こちらもどうぞ♪
『魔人ドラキュラ』 Dracula
監督:トッド・ブラウニング
脚本:ギャレット・フォート
出演:ドラキュラ伯爵/ベラ・ルゴシ
ミナ・セワード/ヘレン・チャンドラー
ジョン・ハーカー/デヴィッド・マナーズ
レンフィールド/ドワイト・フライ
ヴァン・ヘルシング教授/エドワード・ヴァン・スローン
1931年/アメリカ映画/75分
概要
1930年当時、ブロードウェイなど世界の舞台で上演されて大ヒットを記録していた『吸血鬼ドラキュラ』をユニバーサルが破格の金額で映画化権をゲットして、ようやく正式に映画化されたのがこの『魔人ドラキュラ』です。実は当初の予定ではドラキュラ役はベラ・ルゴシではなく、千の顔を持つ男として有名だったロン・チェニーが予定されていました。が、撮影前に死去されてしまい、散々ドラキュラ役を探したあげく、猛アピールを繰り返していた(らしい)けど「ちょっとコイツは・・・」と制作サイドが無視していた(らしい)ベラ・ルゴシに仕方なく決まった(らしい)。当時ベラ・ルゴシは舞台でドラキュラ役を何年もやっていたそうで、すっかりドラキュラが身に染みていたんですかねえ。しかし公開されたらミラクル大ヒットだったそうで、その後のユニバーサルホラーのいしずえを築いただけでなく、ホラーというジャンルを作り出したという点ではホントにすごい映画です。あ、ドラキュラのイメージもほぼこの映画で完成されたそうです。でも牙ないし、真っ黒でもないけど♪
ストーリー(以降ネタバレ!)
トランシルバニアに来たレンフィールドは、ドラキュラ城へ行き、ロンドンの屋敷の契約を交わす。そしてレンフィールドはドラキュラの手下になり、ともに船でロンドンに上陸、セワード精神病院へ。その後は虫ばかり食べる困ったちゃんに。そのセワード精神病院のお隣のボロ屋敷に引っ越してきたドラキュラ。まず、セワードの娘、ミナの友人のルーシーの血を速攻飲んで殺すと、血がなくなって死んでいる事件が数件ある事をヘルシング教授が気づく。次にミナが狙われ、ミナは次第に弱っていく。セワードは友人のヘルシング教授に診察を頼み、屋敷に来たところにお見舞いという事でドラキュラが現れ、すぐにドラキュラが吸血鬼だとばれる。そこからミナの血を吸われないようになんかかんかしながらドラキュラを追い詰めるとドラキュラはミナを誘拐して逃走、どっかの古城(たぶん)へ行くがしっかりヘルシング教授とミナの彼氏のハーカーに見つかって、棺桶で寝てるドラキュラは杭を打たれて完。
こんな感じです。
原作との違い
違う箇所 | 原作の『吸血鬼ドラキュラ』 | 『魔人ドラキュラ』 |
トランシルバニアに行く人 | ジョナサン・ハーカー | レンフィールド |
セワード | ルーシーの3人の恋人の1人 | ミナのお父さん |
ルーシー | 3人の恋人がいるモテモテの女子 ドラキュラに殺され吸血鬼に。 | 序盤でドラキュラに血を吸われ死亡。 その後セリフで子供を襲っていたり、 魂は救われたりと言われるが姿は出さずじまい。 |
ラストにドラキュラとミナが向かう場所 | トランシルバニアのドラキュラ城 | 近くのどっかのたぶんお城。あれどこ? |
こんな感じです。
この映画、舞台の『吸血鬼ドラキュラ』の台本を元に脚本を作られたためか、
実は作品の中盤以降はセワード精神病院での会話劇になりますし、
話が全然動かなくなります。
そして1931年という時代的な事もあって、
ほぼほぼ血は出ませんし、今見ると何が恐いのかサッパリ分かりません。
原作では重要な役のジョナサン・ハーカーは
この映画ではセワード精神病院のシーンでなんとなくいる人にしか私には見えない(笑)。
それに原作で中盤をメッチャ盛り上げるルーシーのじわじわと血を吸われて
みんなで輸血して助けるシーンなんかも原作では全カットで悲しい・・・。

キャストなど
この映画でまず語らないといけないのは何と言ってもドラキュラ役のベラ・ルゴシでしょう。
この方、先にも書きましたが舞台劇でドラキュラ役を山ほど演じて、そちらの業界ではすでに有名人だったみたいです。しかし映画業界では誰も知らない・・・という事で中々お鉢が回ってこなかった、という事みたいです。しかしいざ撮影が始まると、顔を隠さないといけない御者のシーンでも顔を隠す事を拒み、しっかりドアップで顔を出しています。他にも牙を付けるのも拒んだ・・・ってどっかで読みました(笑)。けっこうワガママっっ。ひょっとすると、ベラ・ルゴシからすると、
「この作品で自分を世に知らしめるんじゃ!」
って事だったのかもしれませんね。まあ実際『魔人ドラキュラ』は大成功をしてベラ・ルゴシは売れっ子俳優の仲間入りを果たしたのは間違いないかと思います。
しかし、調子に乗ったのかユニバーサルスタジオが用意した次作のホラー映画『フランケンシュタイン』でモンスター役のオファーが来たのに、顔を全体的にメイクするのが嫌で断ってしまうんですよね。結果、そのモンスター役はボリス・カーロフが演じ、ベラ・ルゴシよりも大スターになり、その数年後、断ったハズのモンスター役をしっかりメイクして演じるという・・・何とも悲しい事になっています。
まあ、ベラ・ルゴシって方は正直2枚目でカッコいいんですよね。なので顔を売りたい本人の気持ちも分からんでもないです(笑)。
このドラキュラ役のベラ・ルゴシはやはり貫禄がありかっこいいです。
あ、この撮影当時、ベラ・ルゴシは英語がほとんど話せず、
セリフを言ってもらって覚えたらしい。ホントかなあ(笑)?
ベラ・ルゴシはこういった事もあって一発屋なイメージがあったりしますが、
実際にプロフィールなどを見ると、B級作品が多いのは確かなんですけど、ずっとコンスタントに作品に出演しているので、実は売れ続けていた人なんだ!と、思っています。
しかし遺作がエド・ウッドの『プラン9・フロム・アウタースペース』というのはちょっと・・・
でもエド・ウッドの『怪物の花嫁』のマッドサイエンティスト役はとても好き♪
そして『魔人ドラキュラ』で言えば、
レンフィールド役のドワイト・フライのイっちゃった演技はかなり見ものです♪このレンフィールド像が後世に残した影響たるや!!みんなマネしてる♪
このドワイト・フライさん、『フランケンシュタイン』でも怪演をしてて、
映画ではキワモノの役しか回ってこなくなり、本人はちょっとウンザリしてたらしい。
この方も演劇から映画に転向してしてきた方で、演劇ではいろいろな役を演じていたそうですよ。
この方も良く見るとカッコいい顔してますからねえ。
ミナを演じたヘレン・チャンドラーも調べてみたところ、1938年の映画を最後に出演作がないようですが、引退されたんですかねえ?しかし何気に主役級の映画が何本かはありまして、けっこう売れっ子だったようです。ごめん。全然知らんかったっっ。
ハーカー役のデヴィッド・マナーズはボリス・カーロフ主演の『ミイラ再生』でミイラと戦ってましたね。『魔人ドラキュラ』のハーカー役はただのお飾りみたいな役でしたけど、『ミイラ再生』ではとても生き生きと演技をされていて、けっこういい俳優さんだと気づかされました。しかしこの方も1936年の映画を最後に映画界からは遠のいていますねえ。
ヴァン・ヘルシング教授を演じたエドワード・ヴァン・スローンさん。ユニバーサルホラーではよく見る顔でして、何か博士ばっかり演じています(笑)。ヴァン・ヘルシング教授と言えば、やたら行動派デドラキュラとも真向腕力勝負で戦うイメージですが、この方の演じるヘルシング教授はまるで『相棒』の水谷豊のような静かに言葉で戦う感じでしたね。これも舞台劇の脚本の影響かも知れませんが、まあこれはこれでアリかと♪
最後に監督のトッド・ブラウニングですが、この方、サイレント映画の頃から監督をされています。代表作は『フリークス』。この方の作風として、たぶん「淡々としてる」というのがあり、当時、この進み方がホラーに向いているとされたんですかねえ?この『魔人ドラキュラ』もまあまあ淡々と話が進むので、眠くなる人は多そうです。私は嫌いではないです♪
この作品のエピソードとして、
実はお昼にこの映画の撮影をして、夜にこの映画のスペイン語版を撮影してたとか、
ユニバーサルがつぶれそうになった時に、この映画や『フランケンシュタイン』などを再上映したらまた大ヒットして会社を救ったとか、
この映画にはエピソードがメッチャあるのでそこも含めて好きな作品です。
ただこの作品を、人に勧めるか?と聞かれたら、勧めませんけどね~♪♪
つー事で今回ここまで。
んじゃまた~♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、
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