【怪奇小説】『吸血鬼カーミラ』ってこんな小説♪『吸血鬼ドラキュラ』の先輩小説で影響を与えたみたいですよ〜♪

こんにちは、ヒッチです。

今回は1872年発表のレ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』について書いていこうと思います。

とりあえずあまりネタバレしないよう心がけますね~。

※2025年10月、大幅にこの記事を書き直しました♪

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吸血鬼カーミラ

『カーミラ』の翻訳本はいくつも存在していますので、そのうちの4つを紹介しますね~♪

『吸血鬼カーミラ』 創元推理文庫/平井呈一訳

創元推理文庫から発売された1番メジャーな『カーミラ』の本だと思います。

この本、短編集でして『カーミラ』を含めて全7作が収録されています。

まずはこれを…と言いたいトコですが、正直1970年発売という古さもあり、個人的には読みにくかったのでした。1ページの文字数もすんごく多く(つまり字が小さい)、けっこうハードルが高い本かなあ~…と、思っています。

『カーミラ~レ・ファニュ傑作選~』  光文社古典新訳文庫/南條竹則訳

光文社から発売された『カーミラ』の新訳を含む全5作収録の短編集。私は読んでいないので語れません(笑)が、新訳なのできっと今の人には読みやすいんじゃないですかねえ~?

『カーミラ』 BOOKS桜鈴堂/遠山直樹訳

Amazonkindleで販売されている電子書籍100円という安さもすんごく魅力でしたが、何よりとても読みやすかったです。気がついたらペーパーバック版(紙の本)が販売スタートしていまして、そちらは1300円だそうです♪

かなりおススメ♪

『新訳 吸血鬼ドラキュラ 女吸血鬼カーミラ』

集英社みらい文庫/ 長井那智子訳/碧風羽挿し絵

この本、いわゆる児童書ってヤツなんですけど、Amazonのレビューがよかったので購入してみました。

『ドラキュラ』『カーミラ』ともにとても分かりやすく読みやすくなっております。何せ吸血鬼の代表2作がアッサリ読めるので、とても良いかと思いますよ。

ケチを付けるとすると、『ドラキュラ』が原作どおりに日記形式にはなっていない。という事ぐらいですかねえ。これ、絶対に訳をした長井那智子さんも迷っただろうなあ~・・・と、安易に想像がつきます。

『カーミラ』は原作どおり、手紙形式になっておりまして、こちらの方が原作に近いイメージでした。

他にも翻訳している本や漫画などもありますので、興味のある方は探してみるとよいかと思います♪

概要

アイルランド人の小説家、ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュが1872年に文芸雑誌の「ダーク・ブルー」に連載を開始した怪奇小説(ゴシックホラー)です。

有名な『吸血鬼ドラキュラ』よりも26年前に発表されている事もあり、ドラキュラの元ネタ的な言われ方もされているみたいですね。

実際のところは分かりませんが、ブラム・ストーカーが影響を受けていたのは間違いないかと思います。

そんな『カーミラ』も研究家たちによって何を資料としたかが分かっているみたいで、

Treatise on the Apparitions of Spirits and on Vampires or Revenants of Hungary, Moravia, et al.

という1751年の論文だそう。直訳するとハンガリー、モラヴィア等の霊の出現と吸血鬼または亡霊に関する論文』だそうで、どうやらこの本に、

  • 夜中になると吸血鬼が墓から出てきて住民の生き血を吸う
  • 墓に罠を仕掛けて吸血鬼の首をはねた

などの記述がされていて、それを参考にしたんじゃないかな~?って話みたいです♪

またジョセフ・フォン・ハンマー・プルグスタルという東洋学者さんが1835年に友人の未亡人プルクシュタル伯爵夫人の財産を相続したそうで、どうやらこのプルクシュタル伯爵夫人ジョセフさんの奥さんとの関係がけっこう凄かったみたいでして、その様子をバジル・ホールさんがハインフェルト城、あるいはシュタイアーマルク州の冬』という本に記していて、これがローラとカーミラの2人の元ネタになっているんじゃないか?って話です。

他にも『狼人間の書』とかエリザベート・バートリの記述なんかも資料として使われただろうって話ですね~♪

そんなこの『カーミラ』、若い女性を襲うところからレズビアンな吸血鬼として、いろんなエロ映画などで変な活躍をしていたりします。

ザックリなあらすじ

オーストリアの田舎のお城にお父さんと暮らすローラ。お父さんの友人の将軍とその娘さんが遊びに来るハズでしたが、その娘さんが亡くなったという知らせがきます。

心待ちにしていたローラはとても落ち込んでいたのですが、そんな時、お城の近くである馬車が横転し、中から女性が放り出され気絶します。慌てて救助に向かうローラとお父さん。

すると馬車に乗っていた婦人が、「私はどうしても行かねばならない急用があるのですが娘がこの事故で旅は無理なのでどこかに預かってほしい」と、言います。

そこでローラとお父さんはその娘を預かり、いっしょに生活をする事になりました。しかしその娘、カーミラはどこか変わった娘なのでした~…

シェリダン・レ・ファニュ

原作者のシェリダン・レ・ファニュさんについても少しだけ調べてみました。

アイルランドの小説家で、1824年生~1873年没だそうです。

主にゴシックホラーやミステリーを書いていた方だそうで、当時でもその分野の中心にいるような地位だったよう。

ちょっと驚いたのが、この方、Dublin University Magazine(ダブリン大学マガジン)という政治評論スタートだったけど、文学、社会問題、大衆文化などを扱うようになった雑誌を自分で買い取って雑誌の変種者&保有者んだそうです。そしてそこで連載もしながら他の雑誌でも連載をしていたんだそう。

めっちゃやり手!!

そんな方なのでかなりの数の作品があるようで、日本でも電子書籍を含めて何作か読めるので、150年ぐらい前のホラー小説ってどんな?など、興味を持った方は探してみるとよいかと思います。

映画も少なからずあったりします

この作品、『ドラキュラ』ほどではありませんが、映画化されているそうです。

その一覧はこちら♪

  • 1960年 『血とバラ』
  • 1964年 『女ヴァンパイア カーミラ』
  • 1970年 『バンパイア・ラヴァーズ』
  • 1972年 『鮮血の花嫁』
  • 2019年 『カーミラ ―魔性の客人―』

と、これくらいの作品があるとウィキペディアに書いてありました♪

ただDVD化されている作品が今作と『女ヴァンパイア カーミラ』くらいしかなく、しかも生産中止によりDVDのお値段がバカ高くなっている上に、DVD宅配レンタルには置いてない状態ですので、なかなかこれらの作品を観る機会はなさそうですねっっ。

個人的な感想

まず最初に読んだのが、創元推理文庫の『吸血鬼カーミラ』だったんですけど、その時は何故か世界観に入り込めず、読み終わった後もイマイチだったんですよね。何かふわっとした印象で、面白いとは思えず…それが20年くらい前。

そして今回、内容をキレイさっぱり忘れている状態で、BOOKS桜鈴堂の電子書籍で読み直しました。やっぱりフワっとしてるんですよね。でも今回はもっとちゃんと読めました。

この作品、ゴシックホラー…というか、幻想小説?的なモノで、恐い!とかは特に感じないんですよね。

と、いうのもこの作品は、主人公のローラの手紙という形式で話が進んでいきますので、ローラが分からない事は読者も分からないという。

そしてそのローラという女の子がまあまあフワっとした性格(笑)。でもとてもムードがありますので(こういうのを耽美的と言うんですかね)、好きな方はかなり好きかと思います。

非常に残念だなあ〜…、と思う事がありまして、それは読み進めていけば分かるんですが、カーミラという謎の女の子が、だんだんと正体が分かって行く、という作りになっているんですよね。なので原作タイトルは、

『Carmilla』

のみなんですが、日本で出版される際に、吸血鬼モノと分かるようにと、タイトルに“吸血鬼”を付けたようです。

しかしそれではタイトルでいきなりネタバレしているので、知らないで読んでいけば、もうちょっと面白さが増したのでは?と、思ってしまいました。あんまり変わらないですかねえ?

ただ、この作品は、短編とまでは言わないですが、中編ぐらいの長さしかありませんので、その関係か、クライマックスはまあまあアッサリです(笑)。

インパクトは十分なんですけど。これは『ドラキュラ』にも言える事なんですけど、当時の作品ってホントにラストが、

「あれ?これで終わり?」

ってなるんですよね~。

しかし、これが『ドラキュラ』の元になった作品かと思って読むのは、よいかと思いますよ♪

と、いう訳で今回は『吸血鬼ドラキュラ』に影響を与えたであろう小説『吸血鬼カーミラ』について書いてみました~。

つー事でではまた~♪♪

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