
こんにちは、ヒッチです。
ちょっと前に『吸血鬼ドラキュラ』のコトを書いたんですが、
今回はその小説の初めての映画化作品、
『吸血鬼ノスフェラトゥ』について、ザックリ書きたいと思います。
以降ネタバレですのでご注意を。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
※歴代の小説『吸血鬼ドラキュラ』の映画化作品まとめました♪こちらもどうぞ♪
『吸血鬼ノスフェラトウ』 Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens
現在販売されているDVDは昔から販売されている比較的安いIVC版と、25年6月に販売される【2K復元版】Blu-rayとDVDの紀伊国屋書店版の3種類。こちらは高いけどかなり画像が鮮明なので細かい表情まで分かってとても良いですよ〜♪
監督:F・W・ムルナウ
脚本:ヘンリック・ガレーン
出演:オルロック伯爵/マックス・シュレック
トーマス・フッター/グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム
エレン・フッター/グレダ・シュレーダー
ノック/アレクサンダー・グラナック
ブラワー教授/ヨハン・ゴットウト
1922年/ドイツ映画/サイレント/94分
※2025年3月現在、今作の配信は見つけれませんでした。またどこかで配信される可能性もありますので、その時はご了承くださいませ。
しかし今作はパドミック・ドメインという著作権の切れた作品という事で、動画サイトで探してみればひょっとすると落ちているかもしれません。この事はご内密に(笑)♪
概要
1922年に世界で初めて公開されたドラキュラ映画(同年にハンガリーでも”ドラキュラ”という作品がありますが、フィルムが消失していて現在では見ることが出来ません)。
が、この作品、版権を取らずに撮影したのでタイトルや登場人物の名前が変わってたりします。
と↑で書いたのですが、実はドイツ人に馴染みやすくする為に名前や場所を変えて、後半登場するネズミも反ユダヤの当時の世相からそうなったというお話がウィキペディアに書いてありましたっっ。
でも内容は一発で『ドラキュラ』と分かるものなので、当然原作者のグラム・ストーカーの奥さんに見つかり、裁判になり当然負けて、フィルムを全部焼却という処分を受けたんですが、何故か現在でも見ることが出来ます♪
ありがたや♪
今作、最初は制作のアルビン・グラウさんが第一次世界大戦中に戦地のセルビアで農民が生き返って吸血鬼になったというお話を聞いた事がきっかけらしいですよ〜。ちなみに製作陣、俳優さん達も兵隊に取られていて、みなさんそれぞれ何らかのトラウマを持っていたらしいっっ。
で、グラウさん、エンリコ・ディークマンさんと共にオカルト専門の映画制作会社プラナフィルムを立ち上げ、今作の制作に入ったそうですが、会社にお金がなかった関係からか『ドラキュラ』の著作権を取らない代わりに様々な変更点を加えた脚本を『巨人ゴーレム』などですでに成功していたヘンリック・ガレーンさんに依頼、そして今作の脚本は出来上がったそうです♪
そしてグラウさん、舞台デザイナーでもあったという事で、今作の衣装などのデザインもされていたそう。その時、参考にしたのが『巨人ゴーレム』だったらしい♪
撮影は1921年7月に行われたそうですが、その時の主要な建物は現在でも観ることが出来るそう♪
また今作、サイレント映画という事で公開当時は音楽をその場で弾いて上映していたそうで、そのオリジナルスコアはハンス・エイトマンさんが作成したそう。しかしこのオリジナルスコア、いろんなゴタゴタで一部の編曲されたスコアのみが残っている状態だそうで、現在はいろんな方が新しく構築したスコアを作っているみたいですね。
そんな今作、1922年2月にオランダで初上映、3月にドイツで初上映されたそう。
作品は大ヒットし、監督のムルナウさんは国際的に有名になったとの事です。しかし、制作会社のプラナフィルムは完成してすぐに破産しちゃったそうなっっ。残念っっ。
そんな今作、焼却処分を逃れたフィルムのおかげで現在も視聴する事ができ、以降の映画に多大な影響をおよぼしています♪

今作から半世紀後の1979年にはヴェルナー・ヘルツォークによりリメイク版『ノスフェラトゥ』、2000年には主演のマックス・シュレックは本当に吸血鬼だった!という噂を映画化した『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』、また2024年にはロバート・エガースさんのリメイク版『ノスフェラトゥ』が大ヒットしています。
また、日本には入ってきていないのですが2023年にデヴィッド・リー・フィッシャー監督によって低予算で『Nosferatu』がミシガン州のEmagineシアターでプレミア公開された後、アメリカのAmazonプライムとアップルTVで配信されています。ただこの作品は評判がイマイチですね〜……
デヴィッド・リー・フィッシャー監督『Nosferatu』予告編
そして今作のオルロック伯爵のデザイン、あまりにも特徴的だったので、いろんな方がオマージュの意味も込めてノスフェラトゥ型として使っています♪

原作との違い(しっかりネタバレ)
違う箇所 | 原作の『吸血鬼ドラキュラ』 | 『吸血鬼ノスフェラトゥ』 |
---|---|---|
主な舞台 | イギリス・ロンドン | ドイツ・ヴィスボルク |
伯爵の名前 | ドラキュラ伯爵 | オルロック伯爵 |
トランシルバニアに行く人 | ジョナサン・ハーカー | トーマス・フッター |
その婚約者(奥さん) | ミナ | エレン |
発狂した不動産屋 | レンフィールド | ノック |
大学教授 | ヴァン・ヘルシング | ブラワー |
吸血鬼の倒し方 | 棺桶を開けて夕日を浴びせて 胸とか刺しまくり♪消滅♪ | エレンが一晩かけてオルロック伯爵に 血を吸わせて朝日を浴びせて消滅♪ |
話の前半はまんま『ドラキュラ』なのですが、後半はけっこうオリジナルなのです。
ラストも独特で私は好き♪
ムルナウ監督とマックス・シュレック
この映画の監督さんはフリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウさん。
ドイツ映画の表現主義ってヤツで有名な監督さんで、
日本で比較的見やすい映画(というか私もそれしか見れてないですが)は、
『最後の人』という悲しい映画と、
第一回アカデミー賞で主演女優賞を獲得した『サンライズ』、
と、この『ノスフェラトゥ』だと思います。
『ノスフェラトゥ』こそ少し説明の多い作品になっていますが、
他に2作品に関しては字幕が本当に少なく、映像のみで見ている人を惹き付けるパワーがあり、
最後には満足できる作品になっているので、この監督さんホントに天才だと思います。
あ、『最後の人』の付けたしラストは私も「え?」とはなりましたけど。
よかったら見てみてくださいませ。
続いてオルロック伯爵を演じたマックス・シュレックさん。
この方の名前を英訳すると、
「最大限の恐怖」
になるのは有名な話でして、
その芸名も相まって「ホントにいる人なの?」とか「本物の化け物なんじゃないの?」とか囁かれたらしいです。
ホントかなあ?でもちょっと調べるとすぐに普通の役者さんと分かります(当たり前ですが)。
実際には30本ぐらいの作品に出演されているみたいでして、素顔の写真を見ると、帝都物語の加藤を演じた嶋田久作さんみたいな顔だな♪って思いました。
評価
IMDb | 7.8/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…97% 視聴者スコア…87% |
映画データベース-allcinema | 8.0 |
Filmarks | 3.6/5 |
Amazon | 4.0/5 |
まあ、高いですわな(笑)。昔の映画なので色々みなさん考慮した点数をつけていると思われますが、今見ても怖いと不気味などの意見が多い気がしました。ただ、やっぱり寝ちゃったという意見も♪分かる(笑)♪♪
個人的な感想

私個人的にはドラキュラ作品の中では1番面白いと思っている作品。
…ごめん、ウソ。リメイク版が1番でこれ2番(笑)。
なんでこんな古い作品が好きなのかというと、
この作品のオリジナル要素が非常に味があって好き!なのです。
特にオルロックがネズミと共に街に上陸してからの何とも言えないあの街が絶望している空気感とかスゴい好き!そして一人で立ち向かうエレンとの最後のやり取りとかめっちゃ好き♪そして終始バカっぽいフッター大好き♪
ヴァン・ヘルシングを排除してる点も素晴らしいと思います♪あくまで素人が吸血鬼退治に挑むという流れって観ていて楽しいですね♪
それとやはりオルロック伯爵のデザインって衣装も含めてスゴい素敵だと思いますね。あのボタンだらけのコート♪ネズミっぽい出っ歯の牙って…何であのデザインに行きついたのか(笑)♪でもめっちゃ怖いですもんね♪
しかし、1922年というまだサイレント映画の時代の作品ですので、サイレントを見慣れていない人には、けっこうハードルの高い作品かと思います。
私は初見の時、爆睡してしまいました(今は好きなんですよっっ)♪
という訳で『ドラキュラ』ならずともホラー映画のほぼほぼ最初の作品ですので、興味のある方は一度チャレンジしてみるとよいかと思います♪
あ、ちなみにレンタルなどで見れるDVDはIVCというメーカーのモノですが、当時と今はフィルムの回転数が違う関係で64分・・って書いてあります。
ちょっと短くてみんな早送りで動いています(昔の映画はこういうのが多いです)。
そしてリマスターしていないので画像は粗目です♪
そこをよしとするかはご自身で判断してくださいませ♪
つー事で今回ここまで。
ではまた~♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes