【怪奇小説】『吸血鬼ドラキュラ』ってこんな話。100年前の小説ですけど今読んでも面白いのだ!

 こんにちは、ヒッチです。

今回はドラキュラ伯爵という人物はみんな知っていても

『吸血鬼ドラキュラ』っていう小説は案外知らない方が多いので、

ここで軽く解説しようかな~♪って思います。

※2025年10月、大幅にこの記事を書き直しました♪

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吸血鬼ドラキュラ Dracula

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫) 平井呈一訳

たぶんこれが1番日本で読まれている翻訳本かと。初版が1971年という事で、今読むと文体が古いらしいのですが、でも私はこれを20年ほど前に読んで、めちゃくちゃ面白かったという記憶があります。

その他、新訳版がそれぞれ発売となっております。読みやすくなっているらしいですが、私は読んでいないので語れませんっっ。

あらすじ

ロンドンで超あやしい不動産屋のレンフィールドトランシルバニアに住むドラキュラ伯爵に屋敷を売ることになったから、ドラキュラ伯爵に会って契約成立してこいや!と、頼まれたジョナサン・ハーカー。トランシルバニアまで行くとサッサと血を吸われ、ドラキュラ城に閉じ込められます。契約成立したドラキュラ伯爵はでロンドンに上陸。ハーカーの婚約者ミナの友達のルーシー(超美人で3人の恋人がいる)の血を少しずつ吸うので、ヴァン・ヘルシング博士「吸血鬼が来た!」とすぐにバレて、みなさんで右往左往するんですが…的なお話。

時代設定は明確には書かれていませんが、読む限り当時の現在(1890年代)と思われます。そして作品の特徴として、

  • 日記や手紙で話が進行する
  • その都度書き手が変わるため、複数人の視点で物語が進行する

というのが挙げられます♪この展開のため、主人公がこの人って決まっていないのも今作の特徴かも♪

登場人物

  • ドラキュラ伯爵
    トランシルヴァニアの貴族で金持ち♪ロンドンに引っ越したい爺さん。でも吸血鬼♪
  • ジョナサン・ハーカー
    ミナと結婚していい家に住みたいイギリスの事務弁護士♪
  • ミナ・マレー(後半ハーカー)
    ジョナサンの婚約者♪ジョナサンが心配♪
  • ルーシー・ウェステンラ
    3人の彼氏のいるモテモテのミナの親友。美人設定♪
  • アーサー・ホルムウッド
    ルーシーの彼氏のひとり。男爵で金持ちのボンボンさ♪
  • ジャック・セワード
    ルーシーの彼氏のひとりで主治医。真面目♪
  • クインシー・モリス
    ルーシーの彼氏のひとり。アメリカテキサス州の大地主♪
  • エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授
    アムステルダム大学名誉教授。専門は精神医学だけど、いろんな事に詳しい60歳♪
  • レンフィールド
    セワードの患者で精神病院にいる。いっつもハエを育てては食べてる♪

こんな感じ。あとは女性吸血鬼が3人とかカルパチア山脈のふもとの村の人達とか、ロンドンに向かう船“デメテル号”の船員たちとかですかね〜♪

『吸血鬼ドラキュラ』の原作本はいろいろ発売されております

もちろんここに挙げた以外にもいろんな翻訳本は発売されていますね。

※こちらはお子様向けの『ドラキュラ』と『カーミラ』の合併本。

これは買って読みました♪本来の日記形式ではなくなってますだいぶ簡略化されていますが、分かりやすくて読みやすかったですよ〜♪♪

また2025年現在、Amazon Kindleでいくつかの電子書籍が販売されていました♪電子書籍オンリーの作品もあってそういった本はめっちゃ安い(笑)♪ので、これを機に読んでみるのもおすすめです♪

概要

1987年にアイルランド出身小説家兼ライシアム劇場の代理支配人ブラム・ストーカーさんが書いた怪奇小説(ゴシックホラーってやつ)です。

1890年代から執筆を始めたそうで、トランシルヴァニアの民間伝承歴史かなり広く調べて100ページを越えるメモがあるみたいですね。ブラムさん、休暇中にウィットビーの公立図書館“ドラキュラ”という名前を見つけて、

「この名前、ルーマニアで悪魔って意味じゃね?」

と、いう事で“ドラキュラ”を使ったというのが定説になっているみたいですね♪

また定説の一つとしてワラキア公国ヴラド・ツェペシュ公(串刺し公として有名)がモデルという話もありますが、実は決定的な証拠はないみたいです。またエリザベート・バートリの犯罪の研究はしていたっぽいんですけど、メモには残っていないそうで、どこまで『ドラキュラ』に反映されたかは分からないみたいですね。

そして過去の吸血鬼小説ポリドリ作『吸血鬼』レ・ファニュ作『吸血鬼カーミラ』がありますが、『カーミラ』の方は『吸血鬼ドラキュラ』の第1章として書かれたけど削除されてブラムさんの死後に発表された『ドラキュラの客』という短編にその影響が見られるらしいですが、

『ドラキュラ』日記や手紙で話が進行していくのは『カーミラ』手紙で話が進行するのを参考にしたんと違うのかなあ?それともこういう形式が当時はやってたのかなあ~?その辺よく分かってないです♪

それよりももっと身近な所にブラムさんはドラキュラ伯爵のモデルにしていた方がいらっしゃいまして、それが舞台俳優のヘンリー・アーヴィングという方。この方、ブラムさんの友人だそうでその風貌や舞台『ヴェニスの商人』での彼の演技特に影響を与えているだろうという話です♪

こうしてまずはイギリス1897年アーチボルド・コンステーブル社から初版が販売。これが評判になり、アメリカでもまずは新聞で連載された後、1899年にダブルデイ&マクルーア社から出版されたそうです。ちなみにこのアメリカ版は現在まで絶版された事がないそうな!スゲ〜〜!!

ただ1859年のウィルキー・コリンズ作『白衣の女』という小説とよく比較されて「『ドラキュラ』ってコリンズが書いたんじゃね?」っていう声もあったらしいですっっ。

またスウェーデン『Mörkrets makter(闇の力)』というタイトルで今作は翻訳ではなく改編された作品が1899年にブラム・ストーカー“A-e”という匿名の人によって新聞で連載、書籍化され、この作品は1901年にアイルランドでも販売されたとの事。この時はブラムさんの序文つきだったらしい♪←でも実は別の人が勝手にブラムさんを名乗っていたと後の研究で分かって、この本は海賊版の可能性が高いって話です♪

この作品、ドラキュラ伯爵ではなくドラキュリッツジョナサン・ハーカートーマス・ハーカーなど名前が変わっていたり、内容も簡潔になりエロさが増したらしい(笑)

なお、2025年現在、この作品の日本語版はなさそうです。残念っっ、読みたい。

この『吸血鬼ドラキュラ』が発表する以前の代表的な吸血鬼小説としてよく挙げられるのが…

  • 1819年 ジョン・ポリドリ『吸血鬼』
  • 1845〜47年 ジェームズ・マルコム・ライマー/トーマス・ペケット・パースト『吸血鬼ヴァーニー』
  • 1872年 レ・ファニュ 『吸血鬼カーミラ』

辺りじゃないでしょうかねえ。『ドラキュラ』もそうなんですけど、この頃の吸血鬼はみんなお昼に普通に行動しています♪といってもドラキュラ伯爵そんなにお昼に出歩いてはいませんでしたけど♪いろいろと吸血鬼の定義が定まっていないのが現代の私たちが読むと新鮮で面白かったりします♪

このご時世ですので、上記に挙げた作品は全部日本語版が販売されています♪ただポリドリの『吸血鬼』は新訳が『吸血鬼ラスヴァン』というタイトルになっていますのでご注意を(笑)♪

ちなみに『吸血鬼ヴァーニー』はあまりの長編っぷりに日本語版は長らく販売されていなかったのですが、2023年の5月に国書刊行会から第一巻が発売されました♪ただ買ったみなさんはほぼ全員(最後まで出版してくれるのかなあ?)という不安と戦っていると思われます♪

今あげた以外でも、いとこトルストイ『ヴルダラクの家族』なども何度も映画化されていますね。こちらも書籍化Amazon Kindleで電子書籍化されてたりします♪

原作者/ブラム・ストーカー

1847年アイルランド出身。本名エイブラハム・ストーカー。幼少期は原因不明の病気で寝たきりだったけど、のちに回復して大学時代はスポーツ選手になってたらしいです♪

その後、ダブリン城で官僚として10年間勤務するかたわら、副業で演劇の評論や小説の執筆などを行っていたそうです♪そしてドラキュラ伯爵のモデルとなるヘンリー・アーヴィングさんの出演した舞台の評論を書いたことがきっかけとなり友人となったみたいですね。

また1872年には『Crystal Cup』という作品を出版されていたり、雑誌で『The Chain of Destiny』という作品を連載されていたりしています。

1878年に結婚、これを機にロンドンに引っ越してライシアム劇場の支配人代理として勤務、そのかたわら執筆活動も続けていまして、1890年『The Snake’s Pass』、1895年『The Watter’s Mou’』『The Shoulder of Shasta』と作品を発表、そして1897年に『吸血鬼ドラキュラ』を発表したそうです。

どうやらブラムさんはお金のためだけに小説を書いていたそうで、その後も小説系18作を発表、劇場の支配人代理を27年間務め、演劇の演出などもしてたみたいですね~♪

1912年4月20日に脳卒中で64歳で死去、これは梅毒が原因という説もあるそうです。

Amazonで販売している『吸血鬼ドラキュラ』以外の書籍をザッと調べましたら、こんなん出てきました♪

『七つ星の宝石』は1903年発表の作品、『新編 怪奇幻想の文学2 吸血鬼』は短編集で『ドラキュラの客』が収録されているそうです。こちらの本にはトルストイの『吸血鬼』も収録ということでちょっと読みたいですねえ。

そして死後のお話なんですが、この『吸血鬼ドラキュラ』著作管理権をストーカー家が失った事に嘆いたブラムさんのひ孫デイカー・ストーカーさんが2009年に『Dracula the Un-dead』という続編を発表したそうです。

ちなみにその作品日本では『新ドラキュラ』というタイトルでちゃんと書籍化されていました~♪知らんかった~♪♪

あれ?でも他の人が書いた続編もあったよねえ?

↓これこれ♪確か評判よかったよねえ?でも読んでないっっ。

舞台化と映画化

『吸血鬼ドラキュラ』といえばまずは映画を思い浮かべると思うんですけど、実はこの小説が発売になる前にブラムさん自身が台本を書いた舞台劇がブラムさんのライシアム劇場で1897年5月18日に上演されたそう(笑)。でも残念ながらこの時の台本は残っておらず、その複製が大英博物館に所蔵されているそう。

その後1927年にハミルトン・ディーンさんが書いた『ドラキュラ』の舞台が好評を得てアメリカでも上演、それが1931年の『魔人ドラキュラ』につながっていきます♪

ちなみにこの時の台本は現在Amazon Kindleで販売されていますので、興味のある方はぜひ♪

また現在でも世界各国でチョイチョイ『ドラキュラ』の舞台は公演されているそうで、日本ですと松平健さんがミュージカルしてたりします♪

映画化の話に戻しますと、ドラキュラさん初登場の映画は、今のところ1921年のハンガリー映画『Drakula halála』だろうと言われていますね。

ただ、この作品は全然内容が小説と違うらしいのですが残念ながら現在フィルムが残っていないので観ることができないのが非常に残念っっ!!

その1年後1922年に有名な『吸血鬼ノスフェラトゥ』が公開となります。ここで分かる限りの小説『吸血鬼ドラキュラ』の日本公開された映画化作品を並べておきますね〜♪
※リンク先はこのサイトのザックリ説明です♪

  1. 1922年 『吸血鬼ノスフェラトゥ』
  2. 1931年 『魔人ドラキュラ』
  3. 1931年 『魔人ドラキュラ (スペイン語版)』
  4. 1958年 『吸血鬼ドラキュラ』
  5. 1970年 『吸血のデアボリカ』
  6. 1973年 『狂血鬼ドラキュラ』
  7. 1979年 『ドラキュラ』
  8. 1979年 『ノスフェラトゥ』
  9. 1992年 『ドラキュラ』
  10. 1995年 『レスリー・ニールセンのドラキュラ』
  11. 2002年 『キング・オブ・ザ・ヴァンパイア』
  12. 2006年 『ドラキュラVSヴァン・ヘルシング』
  13. 2012年 『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』
  14. 2020年 『ドラキュラ伯爵』
  15. 2021年 『ヴァン・ヘルシング 変わり果てた愛しき女』
  16. 2023年 『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』
  17. 2023年 『ドラキュラ・スクワッド』
  18. 2024年 『ノスフェラトゥ』

今のところこんな感じです♪まだモレがあるかも(笑)。しかも日本に入ってきていない原作通りの作品はまだいくつかあるはずっっ!

そして近年では『ドラキュラ』小説の一部だけを切り取って映像化してたりしますねっっ。苦肉の策なんじゃろか?

原作通りの作品だけでこれだけあるんですけど、ドラキュラ伯爵が登場するけど内容の関係ない作品ドラキュラって名前だけで実際出ていない作品などを数えると……もう無数にあり過ぎて手に負えん(笑)!それぐらいあります♪

また映画に限らずTVドラマ小説、漫画などでメチャクチャドラキュラ伯爵は引っ張り出されて大忙し♪

結果「原作小説なんてあんの?」「つーかドラキュラとヴァンパイアの違いって何~?」という『ドラキュラ』がそもそも小説という事を知らない人が大半を占める事になったのでした~(笑)♪

個人的な感想

この小説、中盤まではメチャ面白い!けど、そこから直滑降でつまんなくなりました(笑)♪

最初のね、ジョナサン・ハーカーの旅の日記とかなんて、ただただ美味しそうな地元の料理を食べて「ミナに食べさせたいなあ~」的な明るいテンションが意外過ぎてとても小説の入り口として楽しめたんですよね♪

ただトランシルバニアに入るとだんだんあやしい雰囲気になって行って~、

でも仕事で来てるしこれで大金が手に入ったらミナを幸せに出来るし~……

みたいな展開が日記なので読み取れてとても楽しいのです。

中盤もルーシーが血を抜かれればヘルシング博士と3人の恋人が代わる代わる輸血をするくだりとか、現代医学だと「あかんだら!」って突っ込みを入れたくなるような展開ですが、

このあたりなんかメッチャ楽しいんですよ。というかここの展開はマジで一番楽しみました♪♪もう次が気になって仕方ないんですよっっ!

でも後半なあ~……

なんかホントに急に終わりに向かう感じでどうも好きになれませんでしたねえ~っっ。全然ルーシー絡みの展開のトコとそれ以降の話のテンポが違って、

なんか急いでる……

って読んでて思っちゃいました。それが個人的には残念でしたかねえ~……

と書きましたが、よく考えたらこの本を読んだのも20年くらい前の話ですので、読み返したらだいぶ印象が違う可能性が高いですよね(笑)。

で、こんな感じの小説ですが、発表されたころはまだホラー要素の強い作品自体がなかったせいもあり、大ヒットしたとの事でした。

そして数多くの映画になるんですが、当然クソ長い小説をそのまま作品にする訳もなく、各映画でアレンジされていて、正直私はそのアレンジ具合を楽しんでいます。

なので、映画の出来は二の次です(笑)♪

という訳で今回は原作小説の『吸血鬼ドラキュラ』について書いてみました♪

んじゃまた~♪♪

※参考文献、ウィキペディア

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