【吸血鬼映画】『バンパイア・ラヴァーズ』の解説&感想♪ハマープロにかかったカーミラは格調高い官能吸血鬼♪

こんにちは、ヒッチです。

今回は1970年の映画『バンパイア・ラヴァーズ』についてザックリ書いていこうと思います。

今回もなるべくネタバレなしの予定です。

※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪

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バンパイア・ラヴァーズ The Vampire Lovers

監督:ロイ・ウォード・ベイカー
脚本:チューダー・ゲイツ
原作:ジョゼフ・シェルダン・レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』

出演:ミルカーラ/イングリッド・ピット
   スピルスドルフ将軍/ピーター・カッシング
   エマ・モートン/マデリン・スミス
   ロジャー・モートン/ジョージ・コール
   ローラ/ピッパ・スティール
   ハートグ男爵/ダグラス・ウィルマー
   ペロドー先生/ケイト・オマラ
   執事レントン/ハーヴェイ・ホール
   カール・エバート/ジョン・フィンチ
   伯爵夫人/ドーン・アダムス

1971年/イギリス/91分

※2025年10月現在、今作の配信もDVDレンタルもされていない状況です。そして販売されているDVDも高値になっているのが現状ですね。強いてあげると、↓の2枚組セット比較的手に入れやすいと思われます♪

概要

1970年のイギリス映画。というかハマープロの作品。

この頃のハマープロは年々興行収入が落ちる中、全盛期を支えた首脳陣が退いたり、撮影場所もよく使われていたプレイ・スタジオから配給会社EMIエルストリー・スタジオに移転したりと大変だったらしいですよ〜。

そしてアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズという会社と合作で映画の製作をする事になり、今作その第1作にあたるそうです。なので、オープニングにでっかくアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズと英語で表記されていて、最初何事かと思います♪♪

その合作の目的の1つに検閲が緩い環境を有利に利用するというのがあったそうで、今作はそれがめっちゃ反映されていましてお姉さん達やたら脱いでます(笑)。

ただ今作、製作の前に検閲官に脚本を送って読んでもらいレズビアン描写に問題アリと指摘されるも「だって原作にこういうシーンあるもん(そうだっけ?)」と言って許可を得たらしいです(笑)。

撮影は1970年の1月にエルストリー・スタジオで始まったそうで、序盤のスピルスドルフ将軍のめっちゃ広い屋敷はムーア・パークという宮殿の敷地内で撮影されたとの事。

ヌードシーンの多い本作ですが、ミルカーラ役のイングリッド・ピットさんとエマ役のマデリン・スミスさんに「セットに人を入れないようにしようか?」監督から言われたそう。ピットさんは裸に自信があり全然平気だったらしいのですが、スミスさんは裸に抵抗があり、結果として人を入れないように撮影したそう。

でも製作陣が中で何が起こっているのか分からずヤキモキしたらしい(笑)。それを察知したピットさん、製作陣の前で「わーい」バスローブを取って見せてあげたそうな(笑)。なんだこの逸話(笑)♪♪

たいしてエマ役のスミスさんはヌードという話を撮影間近まで聞いていなかったそうで、めっちゃ困惑したらしいです。「ヌードシーンは日本向けだけのシーンだから」説得されて撮影したそうですが、上映された作品はしっかり丸見え状態のヌードで、今なら訴えられるようなお話っっ。

そんな今作、製作費40万ポンドかかると思われて配給のEMIから受け取ったんですが、16万5227ポンドで済んだそうで、残りのお金はちゃっかり製作会社が受け取ったらしいです(笑)。雑な時代だなあ(笑)。

こうして1970年10月に英米で公開が始まるとしっかりヒットして批評家や観客からの評判も上々だったそうで、当然続編の製作が決定したのでした〜♪

しかしピットさんはオファーを受けたものの続編の脚本が気に入らず、出演はされなかったそうなっっ。

そんな今作、原作はレ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』。それをハマープロいい具合に脚色しておりまして、原作の構成などを変えて原作にはないドキドキなシーンや展開が待っています。でも思ったよりは『カーミラ』でした♪

同性愛を思わせる原作今作ではしっかり同性愛にしちゃってて、おかげでヌードシーンがてんこ盛りになっている気がしますが、でも別にエロさは全然ないのが今作もすごいところかも♪

またハマープロらしくスプラッタなシーンも多くいかにもハマープロが作った作品って感じが出てていいです♪

91分という長さを一気に観せるパワーが今作にはしっかりありますので、もし機会があればぜひ♪♪

ちなみに↓は海外版のBlu-ray。ジャケット怖い(笑)!!

また、先に書いたとおり今作はハマープロ『カーミラ3部作』とか『カーンシュタイン3部作』の第1作と言われておりまして、その3作を並べておきます♪

  • 1970年 『バンパイア・ラヴァーズ』(今作)
  • 1971年 『恐怖の吸血美女』
  • 1972年 『ドラキュラ血のしたたり』

お話がつながっているのかは分かりませんが、イングリッド・ピットさんが今作にしか出演されなかった事情なのか、カーミラ役が3作とも違う方が演じていらっしゃいますね。

また3作品とも過去にDVD販売されていますが、現在生産中止のようでDVDのお値段が高騰しておりますっっ。宅配レンタルにもないようで、鑑賞が難しいのが現状ですっっ。

原作『吸血鬼カーミラ』

吸血鬼カーミラ (創元推理文庫) 平井呈一訳

カーミラ~レ・ファニュ傑作選~ (光文社古典新訳文庫) 南條竹則訳

上が旧訳、下が新訳の一つです。『カーミラ』という作品は1872年という古い作品ですので、現在は版権フリーになり、いろんな出版社や人が翻訳を出しています♪

↓は“BOOKS桜鈴堂”さんのkindle本でなんと100円♪

【あらすじ】
古城に父と暮らす孤独な少女ローラと、突然彼女のもとに現れる絶世の美女カーミラ。二人の少女が出会う時、呪われた物語が動き出す……。相次ぐ村娘たちの怪死、ローラを襲う病、夜な夜な訪れる黒い影。はたして、謎の美少女カーミラの正体とは……。

AmazonのBOOKS桜鈴堂さんの『カーミラ』より引用

こんな感じで気軽に手に入れる事も出来ますので、よかったら一度手に取ってみるとよいかと♪

ちなみに映画化も何度かされていまして…

  • 1960年 『血とバラ』
  • 1964年 『女ヴァンパイア カーミラ』
  • 1970年 『バンパイア・ラヴァーズ』(今作)
  • 1972年 『鮮血の花嫁』
  • 2019年 『カーミラ ―魔性の客人―』

と、これくらいの作品があるとウィキペディアに書いてありました♪

ただDVD化されている作品が今作と『女ヴァンパイア カーミラ』くらいしかなく、しかも生産中止によりDVDのお値段がバカ高くなっている上に、DVD宅配レンタルには置いてない状態ですので、なかなかこれらの作品を観る機会はなさそうですねっっ。

評価

IMDb6.4/10
Rotten Tomatoesトマトメーター(批評家の評価)…76%
視聴者スコア…59%
映画データベース-allcinema9.3/10
Filmarks3.5/5
Amazon4.7/5

こんな感じ♪まあまあ高いですよね〜♪コメントも褒めが多くて今作が好きな方の熱いコメントが多かったです♪ただロッテントマトはちょっと冷めた人が多かった印象で「裸と衣装かいいけど、それ以外は…」とか「退屈な映画だけど観るべきシーンもある」などのコメントがありましたね。

しかしallcinema9.3って高過ぎない?

あらすじ

舞踏会の晩、突然社交場に現れたミステリアスな美女マルシーラ。その正体は吸血鬼として恐れられたカルンシュタイン一族の末裔ミルカーラだった。将軍家に迎えられた彼女は、清純な娘ローラを毒牙にかけ、飢えた肉欲を満たすべく貴族の娘エマに迫る。 レ・ファニュの名編「吸血鬼カーミラ」を、ホラー映画の名門ハマー・プロが濃厚なヌード・シーンとレズビアン描写を織り込んで映像化。乙女の生き血を求め、夜の闇に紛れて暗躍する女バンパイアは、ハマー後期を代表する人気キャラクターとなった。野生的な美貌に妖艶なエロスを漂わすポーランド女優イングリッド・ピットをはじめ華やかに咲き誇る美女たちの競演、ほの暗いロマンが香るゴシック・ムードに溢れた重厚な画面作りも必見である。

Amazonより引用

キャストなど

ミルカーラ……イングリッド・ピット

1937年ポーランド生まれ。お父さんはロシア系ドイツ人、お母さんはユダヤ系の方だそうで、第二次世界大戦中に母親とシュトゥットホーフ強制収容所に収容されたが、脱走したというすごい経験をされた方!

20代に入り、東ベルリンで有名な舞台女優として成功し、そのベルリンで出会ったアメリカ兵の男性と結婚、カルフォルニアに移住。しかし離婚してヨーロッパへ行き、映画の仕事を始め、1963年辺りからエキストラからスタートして映画、TVドラマを出演が増えていったそう。

そして1970年『バンパイア・ラヴァーズ』(本作)で人気に火がついたみたいですね。その後ハマープロの作品それ以外でもホラー作品に出演して“ゴシックホラーの女王”と呼ばれたらしいです♪

1975年のTVドラマの後、しばらく休養し1981年に復帰、1988年から2000年まで休養してまた復帰とちょっと俳優業に不思議な休養期間があったりしますが、この方1980年に作家としてのキャリアもスタートさせていまして(10数作出版してるらしいですっっ)、はその関係かも♪

2010年11月23日73歳の誕生日の2日後に心不全のため死去されたそうです。

原作日本で観れる主な出演作として『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』『荒鷲の要塞』『ブラッド・ゾーン』『ウィッカーマン』『ファイナル・オプション』など。

また今作の後、同じハマープロで『鮮血の処女狩り』の主演を務めています♪

スピルスドルフ将軍……ピーター・カッシング

1913年イギリス出身。俳優になるまでに親に反対されたり劇場で働いても雑務ばっかりだったりとデビューまでにかなり苦労されています。1935年に舞台俳優デビューして、1939年にはスクリーンデビュー。

その後ローレンス・オリヴィエ主演/監督『ハムレット』に出演その辺りから注目され始め50年代にTVドラマでスターの仲間入り。さらに1957年『フランケンシュタインの逆襲』58年『吸血鬼ドラキュラ』に主演して世界的名声を得てその後はドラキュラ、フランケンシュタインシリーズの顔となった他、ハマープロを中心にホラー作品によく出演しクリストファー・リー、ヴィンセント・プライスと並び“三大怪奇スター”と呼ばれる存在になったそう。

70年代中盤以降は脇役を演じるようになり『スター・ウォーズ』などにも出演、1986年の『ビグルス 時空を超えた戦士』が最後の作品となり、1994年に死去されたそうです。

現在日本で観れる主な作品として『アレキサンダー大王』『恐怖の雪男』『ミイラの幽霊』『死体解剖記』『妖女ゴーゴン』『テラー博士の恐怖』『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急地獄行』『ゾンビ襲来』『地底王国』など。

エマ・モートン……マデリン・スミス

1949年イギリス出身。10代の頃臨時で働いたブティックでそこの創設者の方からの勧めでモデルとしてデビューしたそう。

1967年にスクリーンデビュー。すぐに注目されたようで69年のTVドラマで6話連続出演されています。そして1970年ハマープロ作品『ドラキュラ 血の味』に出演すると今作も含めてホラー映画にかなり出演されています。そして『007/死ぬのは奴らだ』のオープニングでミス・カルーソを演じて磁石付き腕時計で背中のジッパーを下ろされてます(このシーンは007史においてもけっこう有名♪)

その後もTV、映画、舞台とかなり活躍されているみたいですね。1984年にお子さんを出産すると徐々に仕事量を減らし一時期は引退状態だったみたいですが、2011年からまた女優業に復帰したそうで、現在でも現役のようです♪

現在日本で観れる主な作品として『フランケンシュタインと地獄の怪物(モンスター)』『おしどり探偵/なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』など。

ロジャー・モートン……ジョージ・コール

1925年イギリス生まれ。1941年スクリーンデビュー。その後『ヘンリィ五世』などに出演するなど着実にキャリアを伸ばしています。1953年から69年まで放送されたラジオコメディ A Life of Bliss』の主演で有名だそうで、1960年にはTVドラマ化もされたそうです♪

そのTVドラマのつながりからか60年代から徐々にTVドラマの出演が増えていき、70年代以降はTVのお仕事の方が多いですね。2008年のTVドラマを最後に引退されたようで、2015年に90歳で死去されたそうです。

現在日本で観れる主な作品として『恐怖の子守歌』『バニシングIN60”』『ジキル&ハイド』『アガサ・クリスティー ミス・マープル3 復讐の女神』など。

ペロドー先生……ケイト・オマラ

1939年イギリス出身。1956年にスクリーンデビューしていますがその頃は別の道も模索してたっぽいですねえ。その後舞台女優として1963年に『ヴェニスの商人』でデビューし、その後TVを中心に活躍しています。

2012年のTVドラマでキャリアが止まり2014年に死去されたそうです。

TVドラマを中心に活躍されていた関係もあって日本とは縁がなくてですねえ、彼女の演技が観れる作品は今作と『狂ったメス』の2作のみのようっっ。残念!

ローラ……ピッパ・スティール

1948年ドイツ出身。その後イギリスに移住しているみたいですね。1962年のTVドラマのゲストでデビュー。その後しばらく空いて1967年から本格的に女優業としてTV、映画と活躍されていまして、今作の続編『恐怖の吸血美女』にも出演されているそうです。

1978年に引退して旦那さんとホテル経営をされていたそうですが、1981年と86年のドラマにちゃっかり顔を出しているみたいです♪ただ1992年に癌のため44歳の若さで死去されたそうです。ちょっと早いっっ。

現在日本で観れる主な作品は今作、その続編と『戦争と冒険』しかないようですっっ。残念!

監督……ロイ・ウォード・ベイカー

1916年イギリス出身。1933年にコロンビア・グラフォフォン社で働き始めましたが1934年にはゲインズバラ・ピクチャーズで映画製作の雑用を始めたようですね。35年には助監督、43年には短編映画ですが初監督作品を発表しています。

1947年『The October Man』で長編監督デビュー。これが当たったそうで、その後もヒットを飛ばし、ハリウッドに招かれてマリリン・モンローも出演した『ノックは無用』『地獄の対決』をするもその後はイギリスに戻って監督を続け『脱走4万キロ』『SOSタイタニック/忘れえぬ夜』などのヒットを飛ばします。

60年代以降はいろんなジャンルの映画やTVドラマを監督しており、ハマープロでも今作以外に『血のエクソシズム/ドラキュラの復活』『ドラゴンVS.7人の吸血鬼』などの監督をされています。

80年代はほぼTVドラマのお仕事をされていまして1992年のTVドラマを最後に引退されたようです。2010年に93歳で死去されたそうです。

個人的な感想

今回ようやくDVDを買う事ができまして♪ようやく観る事ができました〜♪♪

おもしろかったですねえ〜〜♪♪

この作品がどういう感じかは本などで読んでいましたので、原作の『カーミラ』を実際にどう脚色したのかがめっちゃ興味あったんですよね〜♪♪

そして、「あ〜、なるほどねえ〜!!」と感心しきりでした(笑)♪♪

ハマープロの作品をそんなに多く観ている訳ではありませんが、この作品はかなり面白い方に入るんじゃないですかねえ〜。

お話も『カーミラ』をいい具合に残酷さとエロさ(といっても脱いでるだけでエロくない)をパワーアップされていますし、最後まで私はけっこう食い入るように観てしまいました♪♪

ハマープロの作品の毒々しい画面(笑)ではあるんですけど、その中に華やかさを感じられて、しかも残虐なシーンがめっちゃ合いますし、作品自体にパワーというかパンチ効いてます(笑)。

演者さんたちも素晴らしく、エマ役のマデリン・スミスさんは可愛くて、原作のローラのイメージそのままでしたねえ~。ただイングリッド・ピットさんは正直原作のイメージと違ったんですけど、でも全然これはアリだと思いました♪というか悪女感がスゴい女優さんですね(笑)。

ちょっときになったと言えばスピルスドルフ将軍役のピーター・カッシングさんですかね。珍しく脇役というのもすぐに分かったんですけど、こんな大物がやる役だったか?な~んて思っています(笑)。

どうやら謎の紳士にクリストファー・リーさんを配役したかったみたいだし、制作陣はこの作品に自身がなかった……というよりは箔をつけたかったんでしょうねえ~。十分面白いので全然出なくて正解だったと思いますし、大物が出る事によってノイズになってそうっっ。

個人的にはかなり好きな作品になりました♪決して傑作ではないかもしれないし、低予算な作品だとは思いますが、もし観る機会があったら是非とおススメしたい1本♪

という訳で今回は『バンパイア・ラヴァーズ』についてザックリ書いてみました♪♪

んじゃまた〜♪♪

※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes、Filmarks

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