
こんにちは、ヒッチです。
今回は1962年の映画『人類SOS!』についてザックリ書いていこうと思います。
今回はちょっとネタバレありで書きますね〜。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
人類SOS! The Day of the Triffids
※このDVD、ひょっとすると著作権に引っかかってるかもっっ。正直よく分かりませんでしたっっ。
監督:スティーヴ・セクリー/フレディ・フランシス
脚本:フィリップ・ヨーダン/バーナード・ゴードン
原作:ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』
音楽:ロン・グッドウィン
出演:ビル・メイスン/ハワード・キール
クリスティーン・デュラント/ニコール・モーレイ
スーザン/ジャニナ・フェイ
トム・グッドウィン/キーロン・ムーア
カレン・グッドウィン/ジャネット・スコット
ミスター・コーカー/マーヴィン・ジョーンズ
1962年/イギリス/94分
概要
1962年のイギリス映画。SF映画の古典として有名で、日本でも何度もTV放送がされてたぶん60代くらいの人には馴染みの映画みたいですが、なぜか私は一度もTVで観た事ないです(泣)。
というか今作で登場するトリフィドという植物、以前は吸血植物ってよく言われてた気がするんですけど、今回調べたら食肉植物って書いてあった……あれ~?
そんな今作、製作がけっこう大変だったりそれ以降も大変な目にあってたりで、けっこう不幸な映画かもっっ。
1960年に脚本家でプロデューサーのフィリップ・ヨーダンさんによって製作が発表されて、ヨーダンさんの会社セキュリティ・ピクチャーズで製作もされたそう。
そしてイギリスで撮影が決まるとイギリス政府要件で、撮影された作品には一定の割合の英国人幹部がいるというのがありまして、当時引退状態だった(らしい)ジョージ・ピッチャーさんを製作に招きましたが、この方にはなんの権限も持たせなかったらしいっっ。ちょっとかわいそうっっ。

監督にはハンガリー出身のスティーヴ・セクリーさんが起用。ここで俳優陣との問題がっっ。セクリーさんの英語はハンガリー訛りがひどすぎたそうで、ほぼ言っている事が分からなかったらしいっっ。でもセクリーさんのキャラが愛されキャラだったそうで、なんとか上手く撮影は進んだみたいです(笑)。
ただヨーダンさんの脚本は原作の舞台がロンドンだったのに対し、今作はロンドン、パリ、スペインと移動したり、社会の再構築の話だったのが、サバイバル的な話になってたり、登場人物も原作と違ったりと原作とはかけ離れており、さらに“あまりにひどい出来”だったそうで直しをしたらしいのですが、結果は悪くなる一方だったらしいですっっ。さらに撮影予算もなくなっちゃったそうっっ。
そういえばトリフィドのデザインも原作とはだいぶ違うっぽいですね~っっ。
そんな感じで一旦撮影は終わるのですが、出来た作品は60分にしかならず、こりゃダメだという事で再撮影をとなったんですが、俳優陣のスケジュールが取れず、困った製作陣はバーナード・ゴードンさんが脚本、フレディ・フランシス監督で孤立した灯台の夫婦の話を作り撮影、なんとか今作の形になったみたいですねっっ。
こうして1963年5月にようやく日の目を見た今作、原作とあまりに違うという事で批判も受けたようですが、そこそこ評判も良かったようで、原作者のジョン・ウィンダムさんもなんだかんだ認めているみたいですね♪
原作『トリフィド時代』
トリフィド時代 (食人植物の恐怖)【新訳版】 (創元SF文庫)
ジョン・ウィンダム(著) 中村融(訳)
地球が緑色の大流星群の中を通過し、翌朝、流星を見た者は一人残らず視力を失ってしまう。狂乱と混沌が全世界を覆った。今や流星を見なかったわずかな人々だけが文明の担い手だった。しかも折も折、植物油採取のために栽培されていたトリフィドという三本足の動く植物が野放しになり、人類を襲いはじめたのだ! 英国SFの不滅の金字塔。
Amazonより引用
1951年にジョン・ウィンダムさんによって書かれた作品で、日本でもいろんな出版社から発売されたみたいです。
私は未読なので全然語れないんですけど、失明の危機とトリフィドの危機、また疫病との危機を前に、人間同士のいざこざや社会を立て直していく様子が描かれているそうで、今作とはだいぶ違うみたいですね。
1960年にBBCでラジオドラマ化されて、その後も今作以外にも1981年にBBCでTVドラマ化、2009年にもBBCで前後編のドラマ化をしているそうです。
上映後にも問題が……
今作、上映後にも問題が起こっておりまして…
まず上映後、オリジナルネガや映画の権利はプロデューサー兼脚本家のフィリップ・ヨーダンさんの元に行き、その後追加の脚本を書いたバーナード・ゴードンさんとビジネスパートナーのリチャード・ローゼンフェルドさんに譲渡されたそう。
ここでまた問題が発生しまして、映画の権利を持ったお二方、サッサと儲けたくなりまして、複数の格安ビデオ販売会社に「この映画出していいよ〜」と言って販売を始めちゃったそうなんですよねっっ。しかも資金難になっちゃったローゼンフェルドさんは北米の劇場公開権とビデオ販売の権利を売りに出しちゃったそうっっ。
この行動に激怒した方がいらっしゃいまして、それが今作の長年のファンで映画修復の専門家マイク・ハイアットさん。
このハイアットさん、まずボロボロになっちゃっていたオリジナルネガをゴードンさんから入手、ネガの修復をする一方でバラバラになった今作のいろんな権利を買い続け2014年の秋にはほぼ全ての今作の権利を取得したそうです。

こうしてリマスター作業も進み、2009年の10月31日、ヴァイン・ストリートで35mmシネマスコープの上映がされたそうです。それを観た人の感想ですと、「新品のようにキレイだった」そうで、その後ハイアットさんの手によってデジタル化の作業に入り、DVDとBlu-rayの販売の準備を進めていました……
ちなみに↓2009年の10月31日、ヴァイン・ストリートで35mmシネマスコープの上映の時の記事です♪英語です♪♪
“DVD Savant Revival Screening Review: The Day of the Triffids (1963)”
が!2024年にハイアットさんが死去。その後の話が入ってきていないそうで……せっかくリマスターできたこの作品のDVDが販売される日がいつ来るのか謎のままなのでした〜っっ。
そんなグチャグチャな過程を辿った今作、日本でもDVD販売がされていますが、著作権の問題がかなり怪しいんですよねっっ。
上記に貼ってあるDVDも画質はめっちゃ悪くて「なんじゃコリャっっ」と思われるとは思うのですが、そんな事情のようです。
ちなみに今作の日本の著作権はたぶん2032年に切れてフリーになるみたい(違ったらごめんなさいっっ)なので、もしそうなったら今作、もっといろんなところから販売がされるかもしれませんっっ。
粗悪ですけどっっ。
評価
IMDb | 6.1/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…78% 視聴者スコア…51% |
映画データベース-allcinema | 6.2/10 |
Filmarks | 3.4/5 |
Amazon | 3.9/5 |
こんな感じ♪そこそこ高いですかねえ~♪コメントを読むと評価は割れ気味。特にロッテントマトのコメントは原作ファンが多いのかけっこうボロクソに書いている方が多かったですねっっ。しかしそれ以外は古典の名作扱いをしている人が多かった印象です。特に今作が後のゾンビ映画に与えた影響を賛美している人がチョイチョイいましたね♪後、食人植物トリフィドを「怖い」という一方で「ひどい」という人に分かれがちでした♪
あらすじ
突如地球に降り注いだ流星を目撃した人間が、皆失明してしまった。
Amazonより引用
同じ頃、食肉植物トリフィドが暴走を始め人類に襲い掛かり始めたのだ。
二つの危機を同時に迎えた世界はまさに”人類SOS”!

キャストなど
ビル・メイスン……ハワード・キール
1919年アメリカ出身。若いころは自動車整備士やダグラス・エアクラフト社で長距離トラックの運転手をしていたそうです。その会社の催し物などで歌を歌うようになり、コンテストでも優勝、1943年には舞台でプロとして歌っていたみたいですね。
1945年ブロードウェイ舞台『回転木馬』で代役で出演、その後も舞台俳優として活躍し、1948年にはスクリーンでデビューも果たしています。1949年に映画/TV製作会社MGMと契約『アニーよ銃をとれ』『ショウ・ボート』などのミュージカル映画で名を馳せ、その後もTVドラマ『ダラス』にレギュラー出演されたり、80年代には歌手としてアルバムが世界的にヒットしたりと何気にずっと売れてたすごい方です。
2004年に大腸癌で85歳で死去されたそうです。
現在日本で観れる主な作品として『カラミティ・ジェーン』『キス・ミー・ケイト』『掠奪された七人の花嫁』『戦う幌馬車』『ザッツ・エンタテイメントPART3』など。
クリスティーン・デュラント……ニコール・モーレイ
1925年フランス出身。フランス国立高等演劇学校を卒業後、ダンサーとして活躍、1945年『Le cavalier noir』で女優デビューをされていますがその後上映された『Blondine』という作品を1943年に撮影しており(しかも主役♪)、こっちがホントのデビュー作な気がする〜……
1950年代に入りますとハリウッドにも招かれて『インカ王国の秘宝』『ダニー・ケイの戦場のドン・キホーテ』などの作品に出演したり、母国の作品にも出演されていたり舞台俳優としても活躍されて、かなり引っ張りダコだったみたいですね。
60年代後半からTVドラマにもよく出演されており80年代まで活躍されていましたが、90年代以降はほぼ引退状態だったみたいで、2016年に90歳で死去されたそうです。
現在日本で観れる主な出演作として『田舎司祭の日記』『赤い砂塵』など。
スーザン……ジャニナ・フェイ
1948年イギリス出身。1956年の映画で子役としてデビュー。翌57年『The Story of Esther Costello』で主人公の子供時代を演じて注目され、58年『吸血鬼ドラキュラ』でルーシーに連れてこられる子供タニアを演じたり、60年『Never Take Sweets from a Stranger』では主演をされているそうです。
その後も順調に売れ続け60年代後半からはTVを中心に活躍、2000年の短編を最後に女優業はストップしていますが、時折りTVやイベントなどで顔を出しているそうです。
現在日本で観れる主な出演作として『若草物語』など。
トム・グッドウィン……キーロン・ムーア
1924年アイルランド出身。お父さんがアイルランド主義の作家/詩人/政治活動家で、アイルランド独立戦争中に2度イギリスに投獄されているらしいですっっ。兄弟はそれぞれ女優、音楽監督、ハーブ奏者という芸能一家です♪
キーロンさんは医学の勉強をされていたそうですが、地元のアビー劇場から「君、役者になりん」と言われて医学を辞めて俳優さんを目指すことになったそう(笑)。その後舞台俳優デビューして1943年にイギリスに移住し、舞台俳優として活躍します。
1946年スクリーンデビュー。1948年ヴィヴィアン・リー主演『アンナ・カレニナ』で注目されて翌48年にはBBC製作ドラマ『嵐が丘』に出演し、すっかりスター街道まっしぐら♪その後ハリウッド映画にも出演したりイタリア、フランスの映画、またはB級映画にも出演など忙しくされていましたが60年代ごろから人気が低迷、仕事をTVにシフト、1974年の作品を最後に引退されてしまったそうです。
引退後はカトリック海外開発機構に入ったり、ドキュメンタリー映画やTVの仕事、雑誌の編集などをされていたみたいですね。2007年に82歳で死去されたそうです。
現在日本で観れる主な作品として『鍵』『紳士同盟』『スパルタ総攻撃』『アラベスク』など。
カレン・グッドウィン……ジャネット・スコット
1938年イギリス出身。1942年に子役としてスクリーンデビューされていまして、その後も子役としてキャリアを積んでおり、そのまま大人になっても女優として成功されています♪
ちなみに12歳の時子供向けTV番組の司会をしたり、14歳の時に王室映画公演で女王に紹介されてたり、14歳で自伝を執筆してたりするらしいです(笑)♪♪なんかスゲー!!
1967年で俳優業をストップしてるみたいですが、1997年のTVドラマに1度だけカメオ出演されたそうですよ♪
ただ現在日本で観れる作品は今作以外ではU-NEXTで『地球は壊滅する』があるくらいでしたっっ。

監督……スティーヴ・セクリー
1899年ハンガリー出身。ユダヤ人だそうで1920年代にドイツでジャーナリスト/小説家として活動し、1930年に„Stefan Szekely“名義で脚本家として映画『Kult ciala』に参加、同年『Die große Sehnsucht』で監督デビュー。
その後も監督/脚本として次々に作品を発表しますが1933年にナチスが政権を握るとハンガリーに帰国、その後1939年に戦争勃発前にアメリカに移住、名前をスティーヴ・セクリーとして監督業をつづけたそうです。
1973年までに60本の監督作品を発表していますが、ヨーロッパ時代はコメディ映画が主体で、アメリカに来てから犯罪物やスリラー映画などを手掛けていたそうですが、評価はイマイチだったらしいですっっ。1979年に80歳で死去されたそうです。
ただ日本と縁があまりなく、現在日本で観れる作品は今作と『死体に殺された男』くらいでしたっっ。
追加撮影分監督……フレディ・フランシス
1917年イギリス出身。もともとエンジニア志望だったそうですが、学校で“映画の未来”についての論文を書くとノースロンドン大学の奨学金を受け取る事ができたそうで、16歳で卒業すると写真家に弟子入り、映画のスチール写真などの仕事をし、1937年にカメラマン助手として映画に参加しますが1939年にフランス陸軍に入隊、7年間陸軍の撮影などの仕事についてちゃっかり腕を磨いたそう♪
退役後、カメラマンとして映画業界で働き、1956年には撮影監督、1962年に監督デビューをされていまして、監督業ではハマープロなどのホラー作品が多く、また80年代以降は撮影監督としてかなりな数の作品を手掛けています。2007年に89歳で脳卒中からの合併症で死去されたそうです。
現在日本で観れる主な作品として『回転(撮影)』『フランケンシュタインの怒り(監督)』『テラー博士の恐怖(監督)』『恐怖の昆虫殺人(監督)』『残酷の沼(監督)』『ゾンビ襲来(監督)』『娼婦と狼男(監督)』『エレファント・マン(撮影)』『砂の惑星(撮影)』『グローリー(撮影)』『ケープ・フィアー(撮影)』『青春の輝き(撮影)』『ストレイト・ストーリー(撮影)』など。
また吸血鬼映画として『帰って来たドラキュラ』『バンパイア・ハプニング/噛みついちゃってごめんなさい』を監督されています。
個人的な感想
これ、ずいぶん前に一度DVDレンタルで視聴してめっちゃ楽しく鑑賞できた記憶がありました♪
という訳で今回もDVDをレンタルして鑑賞♪
やっぱり楽しい!!
いろんな意味でめっちゃ楽しいです♪
お金がかかってるのかかかっていないのかサッパリ分かんない感じとか最高です♪♪
原作とはだいぶ違うそうですが、今作はとても愛すべきシーンが多くって、たまに無性に観たくなるんだすよね~っっ。
なので今回久しぶりに鑑賞できてよかったですわあ~♪
とにかくトリフィドがめっちゃ怖いっっ!!
あの頭のような花のような部分がクイ~って動くのも怖いですし、気が付いたら後ろにいるとか、団体さんで整列してるトコなんてめっちゃいいです♪
デザインもよくこんな意味不明なデザイン考えたな!と感心しちゃいますし、あれ、ダンシングフラワーで売ってたりしないのかなあ?めっちゃかわいいんですけど♪♪
お話は今回改めて観ると、けっこう淡泊に感じました(笑)。別に悪い意味もないんですけど、これは時代ですよね。この頃の作品ってこんな感じだよな~って思います。今同じ事をしたら倍の上映時間がいるだろ!ってくらいいろんな事がサッサと過ぎるのがむしろいいですね♪
そして灯台のシーンは今回調べて納得できました♪あまりに他との接触がなさすぎて事情を知るとちょっと笑えます♪
トリフィドの退治方法もそこで発見されますが、かなり突っ込みどころ満載ですが、当時はこれでよかったんですよね~。というか今作の淡泊感ですとちょうどいい♪と思いました♪♪
今のCGのすんごい映像を観られてる人にはかなり食い足りない作品かもしれませんが、古典SFとして観る分には十分面白いので、スペクタクル的な作品が好きな方にはぜひおすすめしたい作品です♪♪
という訳で今回は『人類SOS!』についてザックリ書いてみました♪♪
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes