吸血鬼 吾作 十の一

吸血鬼 吾作

さっそく通夜の準備をする為に、吾作は布団に入って死んだフリを、する事になった。しかし吾作は日がのぼると、簡単に死んだように寝てしまうので、そこはあんまりみんな心配をしてはいなかった。しかし問題は日が沈んだ後、しっかり目を覚ましてしまう事であった。吾作は目が覚めた時に全く動かないでいれる自信が全くなかったのである。

それと和尚さんがいなくても仏具からも光が発していて、痛みを伴う可能性があった。これはどうしたものかとみんなで考えた結果、仏具を家のだいぶ手前に置き、吾作は部屋の奥で、

“あまりに痛々しい遺体だからみんなに見せたくない。”

と、いう事にしすればいいだろう、と、なった。

そして、とりあえず葬式の後のお墓の準備もする事にした。吾作には、ちゃんと棺桶に入ってもらい、葬式の次の日ぐらいはそこで寝てもらう事になった。なので間違って朝日や夕日がささる場所では吾作には危険なので、村の墓地からは離れた木の多い茂った草むらの辺りに無理矢理作る事にした。何でその場所?と、聞かれた場合も、

“人ではなくなっているモノだから。”

と、いう言い訳も考えた。

かくしてその日の朝から、吾作達のお芝居が始まった。

吸血鬼 吾作 十の二へつづく

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