こんにちは、ヒッチです。
今回は1967年の映画『妖婆・死棺の呪い』についてザックリ書いてみようと思います。
今回もなるべくネタバレなしの予定です。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
妖婆・死棺の呪い ВИЙ VIY
総監督/共同脚本:アレクサンドル・プトゥシコ
監督/共同脚本:コンスタンチン・エルショフ/ゲオルギー・クロパチェフ
出演:コマ/レオニード・クラヴレフ
百人隊長の娘/ナターリア・ヴァルレイ
百人隊長/アレクセイ・グラズィリン
婆さん/ニコライ・クトゥーゾフ
1967年/ソ連映画/74分
配信状況
2024年11月現在、配信しているサイトはありません。ですが、YouTubeのモスフィルムチャンネルにて無料配信されていますので、リンクをはっておきますね〜♪
概要
1967年のソ連映画。ランタイムがサイトによって違うんですけど、ロシアのウィキペディアでは74分となっていましたので、それに準じますね〜。ちなみに日本版DVDは72分だそうです。
製作は昔のソ連映画とかでよく見るモスフィルム映画スタジオ。当時は社会主義国なんで、ここも国営だったんでしょうねえ。で、このスタジオのディレクターだったイワン・ピリエフさんという方がこの作品の映画化を考えて、プロジェクトがスタートしたそうです。
でも撮影が始まるとヒロインがピリエフさんの要望で交代になったり、ロケ地で撮影した素材がダメという事で新たにメインの怪物であるヴィイも作り直して大半を再撮影したらしいですっっ。
でも完成されたこの映画は1967年にソ連で公開後、年月をかけて世界中で公開やらビデオ販売やらされまして、ソ連映画を代表する作品の1本である事に間違いはないでしょう♪
この作品、ジャンルとしてはホラーとなっていますが、いわゆる今どきのホラーではなく、怖いおとぎ話って感じです。1967年製作という事もあり、スプラッタなシーンもなく全然気持ち悪いとかありません。主人公はちょっとチャンランポランですし。
※注意! お子様には刺激が強いようで、子供の頃TVで鑑賞した人が「トラウマになった」というレビューをいくつか読みました。お気をつけくださいませ(笑)。
そしてこの作品、なんというか…最初こそ意味不明な展開ではありますが、独特のおとぎ話の雰囲気でドンドン引き込まれていきます。
画質も現代のようなパキッとしたキレイなものではないんですけど、これも独特の美しさがあって、古いハズなのにあまり古さは感じません。
そういったもろもろの事もありカルト映画にもなっているみたいです。
原作小説『ヴィイ』
ロシア怪談集 沼野充義(編) 河出書房新社
急死した若い娘の祈祷を命じられた神学生。夜の教会に閉じ込められた彼の前で、死人が棺から立ち上がり……ゴーゴリ「ヴィイ」ほか、ドストエフスキー、チェーホフ、ナボコフら文豪たちが描く極限の恐怖。
河出書房新社のサイトより引用
2024年現在この『ヴィイ』が収録されている書籍の中で手に入れやすい本はたぶんコレだと思います。
作者はニコライ・ゴーゴリ。現在ではウクライナにあたるロシア帝国の小説、劇作家さん。日本でも数多くの書籍が出版されています。
で、この『ヴィイ』という小説、民間伝承を謳っているのに、作中に登場するタイトルにもなっている“ヴィイ”という怪物、実はニコライ・ゴーゴリさんの創作という説が有力らしいですよ〜。
そしてこの作品の映画化は何回もされているようでして、サイレント映画で1909年、1912年、1916年、の3作(フィルムは現存せず)をのぞきましても、
- 1960年『血ぬられた墓標』
- 1967年『妖婆・死棺の呪い』(今作)
- 1990年『Святое место(ホーリー・プレイス)』ユーゴスラビア映画/日本未公開
- 1992年『Танец дьявола(悪魔のダンス)』ロシアのバレエ映画/日本未公開
- 2006年『Ведьма(魔女)』ロシア映画/日本未公開
- 2014年『レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺』ロシア映画
- 2018年『魔界探偵ゴーゴリII 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚』ロシア映画
と、ウィキペディアで調べただけでもこれだけあります。しかし2014年、18年の2作は要素を入れた程度でだいぶ違うらしいですけど(笑)。
それに1960年の『血ぬられた墓標』に至っては、今作と同じ箇所を探す方が大変なくらい違います(笑)。
しかしこれだけ何回も映画化されている小説はなかなかありませんので、それだけ魅力があるという事でしょうね♪
評価
IMDb | 7.2/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…88% 視聴者スコア…78% |
映画データベース-allcinema | 6.7/10 |
Filmarks | 3.6/5 |
Amazon | 3.9/5 |
総じて評価が高いですね。やはり独特で古さを感じない。観ていて飽きないなどの意見がありました。
わかる気がしますね〜♪♪
あらすじ
神学生は休暇で帰郷する途中、宿の老婆に迫られた。ホウキに乗った老婆は逃げる学生に馬乗りになって空高く舞い上がる。地上に降りたとたん、神学生は老婆を叩きのめすとグラマーな美少女に変身。彼は恐れをなしその場を去る。神学校に戻った彼は、地主から死んだ娘の祈祷を頼まれた。娘とはあの美少女だった…。
AmazonのDVD販売のページから引用
キャストなど
コマ…レオニード・クラヴレフ
1936年ソ連生まれのロシアの俳優。
1958年スクリーンデビュー。その後順調にキャリアを重ねていますが、70年代に入ると仕事量が倍増していますね。
2016年までに193本の映画、TVに出演されており、TVの司会者としても活躍されていたそうです。2022年に亡くなっています。
百人隊長の娘…ナターリア・ヴァルレイ
1977年ルーマニア生まれ。お父さんがソ連の軍人(しかもお偉いさん)だそうで、その関係でルーマニアにいたっぽいです。1950年代にモスクワに永住、そこでサーカス募集を見て州立サーカスおよびバラエティ芸術学校のアクロバット部門を卒業し、サーカスに入団し活躍していたそうです。
そしてサーカス業界では有名だったピエロのエンギバロフさんのツテで1966年スクリーンデビュー。同年の次作『Kavkazskaya plennitsa, ili Novye priklyucheniya Shurika』で主演をかざり、女優2作目にしてスターになったみたいです。ちなみに今作は3作目みたいです。
その後も映画、TVと出まくっていまして、TVでは司会なども行なっていたようです。自身の出演したTVシリーズでは1本ですが脚本もされていますね。
最後のキャリアが2022年となっていますが、2024年現在77歳というご高齢です、引退されたとかはなさそうですので、まだまだ現役のようです。
百人隊長…アレクセイ・グラズィリン
1922年ロシア生まれ。詳しくは分からなかったのですが、1940年代に舞台俳優として活動を開始、1957年のスクリーンデビューをされています。
1971年『Belorusskiy vokzal』という映画で第二次世界大戦の退役軍人を48歳で主演、彼の代表作となったそうですが、上映から1週間後に心臓発作で亡くなってしまったそう。しかも自身はこの作品を観る時間が取れなかったらしいです。それは悲しいですねっっ。
婆さん…ニコライ・クトゥーゾフ
1897年ロシア帝国生まれ。この方、男性でした!まじか〜っっ!!
この方も詳しい事は分からなかったのですが、舞台俳優としてデビューし、1923年にゴスキノ映画スタジオ(後のモスフィルムだそうです)に入り、1925年にスクリーンデビューされています。
どの後裏方、指導者としても活躍されたようで、1930年には監督デビューもされているみたいです。風変わりな役柄を演じる事もちょくちょくあったそうで、今作のお婆さんもそういう事なんでしょうね(笑)。
1976年に俳優を引退され、1981年に84歳で死去されたそうです。
総監督/共同脚本…アレクサンドル・プトゥシコ
ソ連映画のおとぎ話の巨匠だそうで、“ソ連のウォルト・ディズニー”と呼ばれているそうですっっ。
1900年ロシア生まれ。1926年に大学を卒業し、しばらくは新聞記者や俳優、舞台の美術などをしていたそうですが、1927年に映画界入り。1928年初監督のなる人形アニメの短編映画を発表。
1935年実写とアニメを融合した『Novyy Gulliver』を発表し、これが話題になったらしいです。しかもこの作品はチェコのアニメーション業界に影響を与えたんだそう。
その後も人形アニメと実写の融合作品を発表していまして日本でも公開された『石の花』『虹の世界のサトコ』など、世界的に成功されています。
1972年の『ルスランとリュドミーラ』が遺作となり、1973年に72歳で亡くなったそうです。
現在日本で観れる主な作品に『豪勇イリア/巨竜と魔王征服』『サルタン王物語』があります。
個人的な感想
この作品、ずいぶん前から知ってはいたんですけど、今回偶然YouTubeでオフィシャルフル映画を見つけたので鑑賞。
これ、ちょっと問題がありまして、YouTubeでの日本語訳が…どう?チョイチョイ抜けてるし…合ってるの?心配になります(笑)。そういう意味ではDVD鑑賞の方がオススメですね(笑)。
で、感想です。
序盤、ギャグ映画にしか見えなくて、なんじゃこれって思いました(笑)。
しかも序盤は本当に何が起こっているのかよく分かんなかったです(笑)。なんか不条理ものでも観てるような意味不明展開(笑)。もうコントみたい(笑)♪♪
ここで脱落する方がいてもおかしくはないと思いますね〜♪
でも話が進むにつれて概要にも書きましたが、独特の雰囲気が心地よくて見入っちゃいました♪
特に本筋に入って、教会に入ってからの展開はかなり面白いかったですね〜♪
ちょっと動きもトリッキーというか(笑)。
けっこう怖い話なハズなのに、なんか明るいというかのほほんとしてるように見えたのは私だけですか?
そしてあのオチもいかにもむかし話な感じでとても好き♪♪
でも考えると分からなくなるこれまた不条理的なオチでした。原作読めば分かるのかもですね♪
そして74分というあの短さ。ヘタに長くないのがいいんだと思います。
余分なモノがなくて、しかも観終わったあとの余韻も個人的にはありました。
ソ連映画なのでヨーロッパ映画の間が苦手な方には辛い作品かもしれませんが、こういうホラー映画もあるんだよという意味も込めて、映画好き全般みなさまにオススメの1本♪♪
しかし、ヒロインの女優さん、めっちゃ美人だったなあ〜。
そして婆さん怖すぎ(笑)♪♪
という訳で今回は『妖婆 死棺の呪い』についてザックリ書いてみました。
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes、Filmarks