こんにちは、ヒッチです。
今回はSFホラー映画の金字塔『遊星からの物体X』とその元ネタ映画『遊星よりの物体X』と、その2つの原作小説である『影が行く』についてザックリ書いていこうと思います。
今回は若干のネタバレありだと思いますのでご了承ください。
影が行く Who Goes There?
アメリカの作家、ジョン・W・キャンベルが1938年に発表した中編小説(文庫本ですと100ページありました♪)。
舞台は南極の大磁極基地。ここで異常な磁力を探知したので、そこに行ったら宇宙船とその乗組員的な未知の生物の氷ずけを見つけたので、研究の為にその生物の氷ずけを基地に持って帰ったら〜……というお話。
この作品、1938年に雑誌『Analog Science Fiction and Fact』というSF雑誌で初掲載されたそうで、最初は全十二章の作品だったそうですが、1948年に収録された同名の作品集では全一四章と二章分追加されたそうです。
さらに2018年、キャンベルさんの未発表の小説(仮題『Frozen Hell』と『Pandora』の2つ)という小説なのかな?を大幅に書き直し&カットした作品だったいう事が分かったそうで、2019年に『Frozen Hell: The Book That Inspired The Thing』というタイトルで出版されたんだそうです。
でもこの本に日本語版は発売されていなさそうですねえ。ちょっと残念。しかししっかり映画化が決まっていたらしいです。ただ、この情報も2020年と古いので、とん挫してないといいんですけどねえ〜……
しかしこの小説、1938年にしてすでに細胞レベルで生物を取り込むという恐ろしい生物を書かれていますので、いかに作者のキャンベルさんが科学に詳しかったかが分かりますね。南極の基地という限られた空間で基地のメンバーが疑心暗鬼する展開や、その生物を見分ける為の手段など、かなり面白いです。
個人的な感想ですが、ホラーでもありましたが、活劇のような面白さも感じました♪
この小説、この後紹介する映画2本以外にもラジオドラマになっていたり、漫画になっていたり、物体Xの一人称で進んでいく小説が発表されてたりするらしいですよ(笑)。
また1973年にはアメリカSF作家協会にて“これまでに書かれた中で最も影響力があり、重要で、記憶に残るSF”の1作として認定されたそうです。
遊星よりの物体X The Thing from Another World
監督:クリスチャン・ナイビー
脚本:チャールズ・レデラー
出演: ケネス・トビー/マーガレット・シェリダン/ロバート・コーンスウェート/ダグラス・スペンサー/ジェイムス・アーネス
1951年/アメリカ映画/87分
配信状況
※2024年現在の配信状況です。今後変わる可能性がありますのでご了承ください。
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概要
小説『影が行く』の最初の映画化作品。
1950年に今作の制作にクレジットされているハワード・ホークスが映画化権の権利を買い、チャールズ・レデラーが脚本を書いたそうです。その脚本では原作どおりの怪物だったそうですよ♪
しかしこれでは予算がかかりすぎると判断した(らしい)ハワード・ホークスとベン・ヘクトが脚本を書き直したそう。でもクレジットされていません。こうして出来た怪物は血を養分とする植物の性質を持つフランケンシュタインの怪物のようなモノになりました♪でも出番少なっっ!!
またその怪物が炎で包まれるシーンがあるんですけど、どうやら映画史上初のシーンで、けっこう大変だったらしい、とか、
当初アラスカをロケ地に選んでいたんですけど、もっと近くにという事でモンタナ州の北部に撮影場所を変えたのは良かったんですけど、思ったより積雪がなくて2週間の撮影を1週間にしないといけなくなったとか、
監督はクリスチャン・マイビーとクレジットされていますが、そのほとんどがハワード・ホークスが行ったという証言があったりだとか、
ホントはタイトルを『The Thing』にしたかったけど、この時期に同名の歌ヒットしていたんで“from Another World”をつけ足したとか、
この頃の作品にしては珍しく演者のクレジットがエンディングにあるなど、小ネタがやたらあります♪
ちなみに出来た作品は序盤こそ原作に沿っていますが、当然の事ながらドンドン独自の展開になりますよ♪そしてホラーっ気なんてなくて、群像劇って言うんですかねえ?死傷者は出ますけど、ホラーよりはサスペンス?とかの方が近いかと思います。
キモくもありません。安心して鑑賞できます♪♪
そんなこの作品、公開当時まあまあなヒットを飛ばしまして、同年公開されたSF作品の中では1番の興行収入だったそうです。ちなみに『地球の静止する日』とかが同じ年だそうですよ〜♪これ傑作♪♪
そしてこの作品の設定が『エイリアン』に影響を与えたとよく言われていますね♪限られた空間でのサスペンスの元祖的存在として今でも語られています。
ただし、原作小説を知っている人達からの評価微妙なようでして、小説家のアイザック・アシモフなどはけっこう辛辣に批判していたっぽいですっっ。
作品の評価
IMDb | 7.1/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…87% 視聴者スコア…73% |
映画データベース-allcinema | 6.2/10 |
Filmarks | 3.4/5 |
Amazon | 3.8/5 |
総じて高い!高いです!単純に作品のまとまりがいいのと、この時代にこれだけの事を…というノスタルジック補正が多少なり入っていると思います。
2024年12月現在の配信状況です。以降変更する事もありますのでご了承ください。
遊星からの物体X The Thing
監督:ジョン・カーペンター
脚本:ビル・ランカスター
出演:カート・ラッセル, A・ウィルフォード・ブリムリー, リチャード・ダイサート, ジョエル・ボリス
1982年/アメリカ映画/109分
配信状況
※2024年現在の配信状況です。今後変わる可能性がありますのでご了承ください。
リンク | Amazon prime 初回は30日間無料 600円(税込)。 この安さで観れる作品数の多い事♪ なんですが、この作品は見放題ではなくて、 レンタル(HD)440円、購入(HD)1600円の2種類があります。 |
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概要
1982年のアメリカ映画で、現在のグログチャドロドロホラー映画の元祖でしょう。現在ではカルト映画としての地位も築いているそうです。
そんな今作、企画が出始めたのは1970年代半ば。今作のプロデューサーのデイヴィッド・フォスターとローレンス・ターマンのお二方が前回の『遊星よりの物体X』よりも原作小説に近い映画化をしようとユニバーサル・ピクチャーズに提案したのが始まりだそう。ただこの段階では他の脚本家さんが映画化権を持っていたので、その権利をユニバーサルが買い、いざ制作となりました。
1976年には一度はカーペンター監督に話が入ったようなのですが、当時まだペーペーのカーペンター監督をユニバーサルは選ばず、当時契約を結んでいた『悪魔のいけにえ』に監督トビー・フーパーに一度はまとまりかけたそうですが上手くいかずとん挫、ジョン・ランディス監督にも声がかかるもとん挫、その間にカーペンター監督は『ハロウィン』で大成功してたそうで、今作の監督に再浮上したらしいです♪
それでもカーペンター監督は前作のファンだった事もあって、前作を越える自信がないと思っていたそうです。が、この時点でもうどうやら原作小説を読んでいなかったらしく、プロデューサーが「ぜひ」と原作を読ませたところ、こりゃいいや♪とやる気になったらしいです(だいぶはしょってます♪)。そして監督になった訳ですが、これがカーペンター監督にとって初の大型プロジェクトだったそうですよ〜♪
ユニバーサルは当初1000万ドルの予算を考えていたそうですが、なんだかんだで最終的には1500万ドルまで制作費はかかってしまったそうです。そして主役のカート・ラッセルは今作の為に1年間かけてヒゲをのばしたそうです♪
ロケ地は舞台が南極という事もあり、アラスカとカナダのブリティッシュコロンビア州が主な撮影場所だったそうですが、気温が低いのでカメラを温かい場所へ持っていくと曇ってしまったり、天候の変化など、かなりスケジュールを押してしまったみたいですね。
しかもスタジオで撮影されたシーンも数多く存在していまして、中には気温35度の中あの防寒着を着て撮影したシーンもあって演者さんたちも大変っっ。
そして今でも語り継がれているあの物体Xのデザインですが、主にロブ・ボッティンさんがデザインされているそうです。しかしこの仕事にこんを詰めすぎて、悪夢をめっちゃ見たらしい(笑)。しかも過労、肺炎、出血性潰瘍で入院と大変な事になってしまったそうですっっ。
普段は自身の監督作では自分の楽曲を使うカーペンター監督ですが、今作はエンニオ・モリコーネさんが担当。でもエンニオさんはあえてカーペンター監督の音楽に寄せたとの事(笑)。しかもこのサントラ、当時ラジー賞の最低音楽賞にノミネートされちゃったそうですが、今作での未使用楽曲をタランティーノ監督が『ヘイトフル・エイト』で使用したところ、アカデミー賞を受賞しちゃったらしいです!ホントに?
と、だいぶはしょっていも小ネタがやはり多い今作、1982年6月に公開されたんですが、この時は批評家からは「屠殺場に行け!」「エイリアンのパクリ!」などボロクソに書かれ、興行収入的にも失敗作となってしまったそうです。
しかしビデオリリースされると状況は一転、すぐに話題作に変わりカーペンター監督もホッとしたそうな♪そしてカーペンター監督はこの作品が1番のお気に入りと語っていたそうです。
こんな本作、1991年にはコミックとして、2002年にゲームでそれぞれ続編が発売されているそうで、今作をカーペンター監督は正伝と認めているそうです。
そして前日談である『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が2011年に公開されましたが、こちらは今作の焼きまわしのようなお話になってしまい、あまり評判はかんばしくはないですかねえ〜。
内容としては上記にも書いたとおり、原作小説に近い状態で話は進んでいきますが、原作での登場人物が多すぎるという理由で半分以下にしたり、当然ながら見せ場も原作とは違うシーンも多いですね。というか冒頭の展開も違いますね♪
そして気持ち悪さも映画の歴史を変えたぐらい凄まじいので、キモいのが苦手な方には全くおすすめできません(笑)ただし、原作にある“誰が物体Xなのか?”という疑心暗鬼のサスペンスは素晴らしく、常にピリついた空気感を楽しめますので、映画としてもやはり一流だと思います♪
作品の評価
IMDb | 8.2/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…85% 視聴者スコア…92% |
映画データベース-allcinema | 7.5/10 |
Filmarks | 3.9/5 |
Amazon | 4.4/5 |
当然ですが、総じて高いですね(笑)。2024年現在までにカルト映画の地位を築いただけでなく、2008年に『エンパイア』誌にて史上最高の映画500本の1本に選ばれたり、『ローリングストーン』誌でも読者投票の史上最高のホラー映画で9位に選ばれるなど、賞賛の声は絶えません。
上記にも書きましたがまたこの作品の影響は計り知れないものがあり、現在活躍している監督さん達も、自身に影響を与えた映画の1本に挙げている事が多いそうです。
個人的な感想とまとめ
どうだったでしょうか?
今月(2024年12月)から『遊星よりの物体X』が配信スタートしたという事と、最近になって原作の『影が行く』が手に入ったので調子に乗って記事にしてしまいました。
原作『影が行く』に関しては、私が読解力があまりないので読むのに時間がかかったり、理解するのに少し時間がかかったりしてしまいましたが、中々面白かったです♪ただホントに登場人物が多いのでかなり頭の中がこんがりました(笑)。
『遊星よりの物体X』は25年くらい前にTVで夜中放送されたものをビデオで録画しておいて後日観たら、
「これであの怪物が倒せる!」
という所でプチン!と録画部分が終わりまして(笑)、それ以来の鑑賞となりました♪おかげで最後が分かってよかったです♪♪
でもこの作品、『影が行く』ではないですね(笑)。舞台もなぜか南極ではなく北極ですし、上記に書いたとおり、全然怪物が違いますし。そのおかげで1匹の無敵の怪物をどうやってやっつけようか?というお話になっていて、これはこれでとても楽しめました。
ただ今観ると当然古いのでツッコミを入れたくなるシーンはチョイチョイ出てきます。でも古典を観るという意味では良いと思います。
そして『遊星からの物体X』。
これは子供の頃(中学くらいだったかも?)TVで放送された時にあまりの怖さと気持ち悪さにビビり倒した記憶があります。でも同時にめっちゃ好きでした。
おかげでこんなブログを書くおかしなジジイになったんですけど、ホラー好きを公言している方で今作を観ていないと「え?『物体X』観てないの?」とマウントを取られるので、今作を鑑賞する事をオススメします♪♪
ただ、作品のラストが実はこうだった!という説があって、それを私は中学の先生から聞いたと思うんですけど、カーペンター監督が「ただの偶然」でなんの意図もしてなかった事が判明して、長年信じていた私はヒックリ返りそうになりました(笑)。たぶん今でも信じてる人いると思われます♪
原作小説を読んでいたり、2作品を観ておくと映画との違いをこうして楽しめますので、個人的には全て観る事をおすすめします♪
また、技術の進歩で『より〜』では出来なかった事が『から〜』ではできるようになったり、表現の幅もより過激になってもOKな時代になったのも大きいかと思います。
ひょっとすると近いうちに『影が行く』の元の小説の映画化作品の続報が聞けるかもしれませんし、その小説の翻訳版が日本で販売される日も来るかもしれません♪
その時はまた楽しみたいと思います。
という訳で今回は小説『影が行く』とその映画化作品『遊星よりの物体X』と『遊星からの物体X』についてザックリ書いてみました。
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes、Filmarks