
こんにちは、ヒッチです。
今回は1971年の映画『鮮血の処女狩り』についてザックリ書いていこうと思います。
今回もなるべくネタバレなしの予定です。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
鮮血の処女狩り COUNTESS DRACULA
監督/原案:ピーター・サスディ
製作/共同原案:アレクサンダー・パール
脚本:ジェレミー・ポール
出演:エリザベス・ナダスディー伯爵夫人/イングリッド・ピット
ドビー大尉/ナイジェル・グリーン
イムレ・トース中尉/サンダー・エリス
ジュリー/パティエンス・コーリアー
ファビオ/モーリス・デナム
イロナ/レスリー=アン・ダウン
1971年/イギリス映画/93分
※2025年4月現在、今作の配信は見つけれませんでした。またどこかで配信される可能性もありますので、その時はご了承くださいませ。
概要
1971年のイギリス映画。制作は『吸血鬼ドラキュラ』のハマープロ。
今作、ハマープロ後期の作品で、だいぶ世間が”ドラキュラ”に飽きてきた頃に制作されたはずでして、その打開策か実在の超ヤバい人物エリザベート・バートリを取り上げた作品となっています。
ただ作中に登場しているのはエリザベス・ナダスディー伯爵夫人で、今作のオープニングにも、
【登場する人物はすべて架空の人物です】
ってテロップが出てたみたいです(私は確認出来ませんでしたっっ)♪なんか政治的な配慮でもあったんですかねえ?
そんなエリザベス・ナダスディー伯爵夫人を演じたのはイングリッド・ピットさん。この方同年に『バンパイア・ラヴァーズ』に出演して成功を収めたトコだったそうですが、今作の出演、ダイアナ・リグさんが出演を断ったことで実現したそうで、いわば代役ってヤツみたいです。でも大正解♪♪
ただ、なぜか声の吹き替えはオリーブ・グレッグという別の方が行ったそうで、これがきっかけになり、監督とは絶交しちゃったらしいですっっ。しかしピットさんは今作を自身の最高傑作とも思っているそうで、なんか複雑っス。

また今作は1969年の『1000日のアン』のセットを流用して撮影されてるんですが、監督のサスディさん、今作をホラーではなく歴史物として作りたかったらしい。でもハマーの社長さんが、
「血だらけにしてよ〜〜っっ」
的な事を言ったそうで、今作、血まみれの超怖い作品にしっかり仕上がっています……って言いたいトコなんですけど、実際にはたぶんお金の問題かと思うんですが、肝心の血の量が少ないんですよねえっっ。
バートリと言ったら血のバスタブなのにねえ〜〜……
でもちゃんとハマーのホラー作品として仕上がっています♪
そして今作はハマープロのエロ・グロ路線映画の1本だそうで、確かにちょっとエロいです。でもそれ以上に怖いです♪ちょっと古いけど(笑)。
1971年1月31日にロンドンの映画館でまず公開、そして2月14日からイギリスで一般公開され、1972年にアメリカで公開されたんですけど、その時は『Vampire Circus』との2本立てだったみたいですね♪そりゃお得です♪
ちなみに↓は海外版のDVD。当時のめっちゃ怖いポスターをジャケットに使用しています♪
ただ、今作原題が『Countess Dracula(ドラキュラ伯爵夫人)』って意味なんですけど、
ドラキュラじゃないよねえ〜(笑)。
でも無理矢理その単語を出してたので、無関係とも言えないのでした♪♪
さらに書くと、吸血鬼でもありません。普通でもないですけど♪♪
エリザベート・バートリとは?
エリザベート・バートリ(1560〜1614)、ハンガリーの貴族、バートリ家に生まれ、幼少期は今で言う英才教育を受けて才女と言われていたみたいです。15歳の時にナーダシュディ伯爵と結婚、しかし伯爵は戦場に行く事が多かったため、城の管理は彼女に任されます。
最初は使用人の血がたまたま肌についてそこが若返ったという錯覚を起こしたとよく書かれていますが実際は謎でしょう。そして自身の美貌を保つために血を求め始め、近くの村などから数百人の女性を城に招いては殺害、使用人に後始末をさせていたと言われています。
ちなみにバートリと言えば…
- 血のバスタブ
- アイアン・メイデン(処刑器具)
でしょう。アイアン・メイデンで串刺しにした女性の血を一か所に流して溜めれるように作り、その血をバスタブいっぱいにためて浸かっていたというお話はよく聞きます。
最終的に貴族の娘に手を出した事で発覚、裁判にかけられ有罪、城の塔に幽閉され亡くなったとされています。
ただ、政治的な理由で有罪になったとも言われていまして、この話もどこまで真実かは怪しいですね。
こんな本も出てます♪
そんなエリザベート・バートリを扱った作品もいくつかありますのでここで紹介しておきますね〜♪
- 鮮血の処女狩り(1971)……今作
- 赤い唇(1971)
- 吸血の館(1979)
- みんなドラキュラ(1980)
- ヴァンパイア・クイーン(2004)
- アイアン・メイデン 血の伯爵夫人バートリ(2008)
- 血の伯爵夫人(2009)
- Chastity Bites(2013)
- フライトナイト2(2013)
こんな感じです。2008年と2009年の2作は両方とも歴史ドラマのようでして、吸血鬼ものではなさそう。たぶん作品としてはこちらの方が面白い気がしますね〜(笑)♪
しかし数があまり多くはないみたいなんですが、ほぼ日本に入ってきているので出来たら全部観たい!でもDVD化も配信もされていない作品とかもあるんですよね〜っっ。早よして!
あ、そういえば『30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ』の吸血鬼もバートリっぽい人だった気がします♪
評価
IMDb | 5.9/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…40% 視聴者スコア…44% |
映画データベース-allcinema | 8.0/10 |
Filmarks | 2.8/5 |
Amazon | 4.4/5 |
サイトによって評価が分かれていますね。でも正直点数の高いサイトは昔の映画だからという優しい気持ちと大好き過ぎちゃう人が多い気がしました(笑)。いや、全然いいと思ってます♪
あらすじ
17世紀のハンガリー。広大な領地を持つ伯爵夫人(I・ピット)は、仕事を求める小作人を平然と馬車で轢かせるような、無慈悲で強欲な女性だ。しかし、何不自由ない豪勢な生活を送る彼女にも思い通りにならないことがひとつだけある。それは自らの年老いた姿だった。ある日、はずみで召使女の血に触れた肌が若返ったことに気づいた夫人は、生命力に満ちた処女たちの肉体を切り裂き、流れ出す鮮血の風呂を浴びる若返り秘術に没頭。さらに、娘のイロナ(L=A・ダウン)を誘拐させた上で、自分が娘に成り代わって若い良人と結ばれようとする。しかし、生き血の効能は長続きせず、醜い老婆の姿に戻っては殺戮を繰り返すのだった。
Amazonより引用

キャストなど
エリザベス・ナダスディー伯爵夫人……イングリッド・ピット
1937年ポーランド生まれ。お父さんはロシア系ドイツ人、お母さんはユダヤ系の方だそうで、第二次世界大戦中に母親とシュトゥットホーフ強制収容所に収容されたが、脱走したというすごい経験をされた方です。
20代に入り、東ベルリンで有名な舞台女優になっていたそうですが、そのベルリンで出会ったアメリカ兵の男性と結婚し、カルフォルニアに移住。しかし結婚生活は続かず離婚してヨーロッパへ行き、ウエイトレスをしながら映画の仕事に就こうとガンバっていたそうです。
1963年にTVドラマ『セイント 天国野郎』、1965年『ドクトル・ジバゴ』などにエキストラ出演、1966年辺りから役をもらって映画やTVに出演し始めていますね。
しかし人気に火がついたのは概要にも書いた1971年『バンパイア・ラヴァーズ』でのカーミラ役のようです。その後ハマープロの作品やそれ以外でもホラー作品に出演して“ゴシックホラーの女王”と呼ばれたらしいです♪
1975年のTVドラマの後、しばらく休養し1981年に復帰、1988年から2000年まで休養してまた復帰とちょっと俳優業に不思議な休養期間があったりしますが、この方1980年に作家としてのキャリアもスタートさせていまして(10数作出版してるらしいですっっ)、はその関係かも♪
2010年11月23日73歳の誕生日の2日後に心不全のため死去されたそうです。
原作日本で観れる主な出演作として『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』『荒鷲の要塞』『ブラッド・ゾーン』『ウィッカーマン』『ファイナル・オプション』など。

ドビー大尉……ナイジェル・グリーン
1924年南アフリカ生まれ。その後イギリスに渡り育ったそうで、ロンドン王立演劇アカデミーで奨学金を受けて入学していますが、第二次世界大戦中はイギリス海軍で訓練を受けているそう。
1948年に舞台俳優としてのキャリアをスタート。ただ映像デビューはちょっと早くて1942年のエキストラでの映画出演。でも本格的な映像での出演は1953年のTVドラマのゲスト。50年代は舞台では大活躍されているものの、映像ではあまり大きな役は回ってこなかったようですが、1960年の『シャーウッドの剣』のリトル・ジョン役で注目され、1963年『アルゴ探検隊の大冒険』ではヘラクレスを演じています。
1965年『怪人フー・マンチュー』ではクリストファー・リーとともに主演をはたしていて、この頃になるとTVドラマにもよく出演されており、かなりお忙しくされていたようですね。
この忙しさはずっと続いていたのですが、1972年5月15日、睡眠薬の過剰摂取により死去されてしまいました。47歳という事で、自殺なのか事故なのかはいまだに謎だそうです。
現在日本で観れる主な出演作として『殴り込み戦闘機隊』『ズール戦争』『赤死病の仮面』『国際諜報局』『トブルク戦線』『キッスは殺しのサイン』『大侵略』『サイレンサー第4弾/破壊部隊』など。

イムレ・トース中尉……サンダー・エリス
1936年ハンガリー生まれ。第二次世界大戦中に孤児となったそうで、その後1956年のハンガリー革命の最中にイギリスに移住した後、オールドヴィック演劇学校に通って演技を勉強したそうです。
1958年のTV映画でデビュー。その後もTVを中心に活躍されています。1977年にはイギリスの国籍を所得できたそうで、生涯イギリスで暮らしていますね。俳優業だけでなく、児童書を出版されていたようですが、詳細は分かりませんでしたっっ。
1996年の映画が最後の出演となり、2002年に66歳で心臓発作で亡くなったそうです。
現在日本で観れる主な出演作として『フランケンシュタインの怒り』『女子大生・恐怖のサイクリングバカンス』があります。
ジュリー……パティエンス・コーリアー
1910年イギリス生まれ。1932年から演劇界で活躍しいたそうで、イギリスのロイヤル・ナショナル・シアターとロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに20年間以上在籍していたいわば重鎮ってヤツですね♪
ただ映像でのデビューは気持ち遅くて1951年のTV映画が最初みたいです。その後もTVを中心に活躍されていますね。1978年のTVのミニシリーズ『Will Shakespeare』ではエリザベス一世を演じています♪
1985年のTVドラマが最後のお仕事になったようで、1987年7月13日に76歳で死去されたそうです。
で、めっちゃお仕事された方なんですが日本には縁がなかったようで、日本で観れる出演作は今作以外なさそうですっっ。
ファビオ……モーリス・デナム
1909年イギリス生まれ。1934年に舞台俳優としてのキャリアをスタートさせたそうで、1938年のTV映画で映像デビューもされています…つーかそんな昔にTVってあんの?
その後もTV、映画、舞台と幅広く活躍されているんですが、声の仕事も多く、アニメの声優、ラジオ番組やドラマ、ナレーションなどのお仕事もされていたそうです。ちなみにBBCラジオでエルキュール・ポアロも演じた事があるそうな♪
1992年にはその功績が認められて大英帝国勲章を授与されたそうです。お仕事は1997年で引退かな?されたようで、2002年7月24日、92歳で死去されたそうです。
現在日本で観れる主な出演作として『沿岸防衛隊』『わたしのお医者さま』『ビスマルク号を撃沈せよ!』『チャーリング・クロス街84番地』『欲情の扉』『モース警部シリーズ VOL.17 ファット・チャンス』など。
イロナ……レスリー=アン・ダウン
1954年イギリス生まれ。10歳でモデルのお仕事を始めて10代のころには美人コンテストで優勝しまくり、15歳の時に“イギリスでもっとも美しいティーンエイジャー”に選ばれたそうな(笑)♪
1969年にスクリーンデビューを果たし、すぐに売れ始めて1971年『血臭の森』では学校帰りにレイプされる女生徒を演じて話題になったようです。この頃にはもうスターの仲間入りを果たしているようです。
1985年のTVドラマ『南北戦争物語 愛と自由への大地』ではゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされた他、1997年放送のメロドラマ『サンセット・ビーチ』でソープオペラ・アップデート・アワードというメロドラマ専門の雑誌の賞(らしい)で最優秀女優賞を受賞したり、1987年から現在まで放送されているメロドラマ『The Bold and the Beautiful』に2003年から2012年まで出演、2005年のローズドールというヨーロッパを中心にしたTV番組の国際的な賞でメロドラマ部門の女優賞を受賞したりしてます♪メロドラマの女王だったんですね♪
映画、TVと出まくっていましたが、2020年に女優引退を発表したそう。でも2024年『Reagan』でサッチャー首相を演じてちゃっかり復帰して、ゴールデンラズベリー賞助演女優賞にノミネートされちゃってますっっ。ちょっとかわいそう。
現在日本で観れる主な出演作として『ピンク・パンサー3』『大列車強盗』『DEATH WISH/キング・オブ・リベンジ』『僕らの幸せ計画進行中』『レジェンド オブ ゴア』『ダークウォッチ 戦慄の館』など。

監督/原案……ピーター・サスディ
1935年ハンガリー生まれ。1960年のTVドラマで初監督。その後60年代はほぼTVドラマのお仕事しかしていない模様。1968年に長編映画(ホラー)を初監督。
そして1970年『ドラキュラ 血の味』を監督。その流れかな?今作と1971年『ハンズ・オブ・ザ・リッパー 』『デビル・ナイト(TV映画)』を監督してすっかりホラー監督のイメージがついたみたいですね♪
その後もTVドラマをどちらかというと中心に活躍されていますが、80年代以降はホラーをあんまり監督していないみたいですね。1993年のドラマを最後にキャリアが止まっていますので、引退されたようですね。
現在日本で観れる他の作品は『新シャーロック・ホームズ/ホームズとプリマドンナ(前・後編)』くらいみたいです。
個人的な感想
これ、面白かったですねえ〜〜〜〜っっ。
ずいぶん昔の作品なので、いろんなところが古いし、まったりしてるしで今の映画に見慣れている人には厳しいのかな?とも思いましたし、前半はちょっと眠くなりましたけど、
でも後半に行くにつれてもう目が離せませんでしたし、最後も「おお〜〜!」と声が出てしまいました(笑)♪
この映画、全体的に気持ち悪〜〜〜〜い空気が漂っていて、それがイヤでしたねえ〜〜(褒めてます)♪♪
それに最初から伯爵夫人がめっちゃ嫌な人物と分かる描写てんこ盛りなのもよかったです♪♪
この頃のハマープロってだいぶお金もないかと思うんですけど、それでも中世のあの衣装もステキでしたし、メイクも安いんだろなって思っちゃいましたけど、でもあんまり気にはなりませんでしたね♪
だってそれ以上にあの伯爵夫人が異常過ぎちゃってっっ。
あの主演のイングリッド・ピットさんの美貌もさることながら、あの異常なキャラクターをしっかり演じておられまして、それが凄かった!!
またその周りの取り巻きの人たちも異常な状態の演技をされていて、めっちゃ怖かったですっっ。
危ない宗教とかってこんなだよねって思いましたっっ。
なのでホラーというよりサスペンス?とかミステリー?なんじゃないかとも思いますので、スプラッタが苦手で歴史物が好きな方とか、ハマープロを全部制覇したい方、はたまた怖い女性が観たい方にはおすすめできます♪
という訳で今回は『鮮血の処女狩り』についてザックリ書いてみました。
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes