
こんにちは、ヒッチです。
今回は1971年の映画『ドラキュラ対フランケンシュタイン』についてザックリ書いていこうと思います。
今回もなるべくネタバレなしの予定です。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
ドラキュラ対フランケンシュタイン Dracula vs. Frankenstein
※↑は海外版のDVDです。
監督:アル・アダムソン
脚本:ウィリアム・パグズリー/サム・シャーマン
出演:ドゥリェー博士/J・キャロル・ネイシュ
グロートン/ロン・チェイニー・Jr
ジョディス/レジーナ・キャロル
マイク・ハワード/アンソニー・アイズリー
マーティン警部補/ジム・デイヴィス
ドラキュラ伯爵/ザンダー・ヴォルコフ
フランケンシュタインの怪物/ジョン・ブルーム/シェリー・ワイス(ラスト追加撮影)
1971年/アメリカ/91分
概要
1971年のアメリカ映画。この作品、妙な経緯でモンスター映画になっていまして、そもそもの始まりは今作の監督アル・アダムソンさんと脚本のサム・シャーマンさんの前作『Satan’s Sadists』というアウトロー・バイカー映画の続編として製作がスタートしています。
ただ、ホラー要素の入れたバイカー映画を製作してたそうで、1969年3月には主演のJ・キャロル・ネイシュさんとロン・チェイニー・Jrさんを起用して撮影スタート。
しかしこのお二方、ネイシュさんは肺気腫を、チェイニーさんは咽頭ガンを患っておられたそうで、特にチェイニーさんは声も出なければ歩くのもやっとの状態で、撮影以外の時間はほぼ寝ていたらしいっっ。そしてネイシュさんは高齢でセリフが覚えられず、カンペにセリフを書いてもらい読んでいたらしいっっ。大変だ……
でもなんとか3月に撮影を終えて、いざラッシュを観たらアダムソン監督と脚本のシャーマンさんは「ダメじゃね?」となり、主演の病人お二方がホラー映画に関わっていたという事で、バイカー要素を減らしてホラー映画に作品をシフトチェンジしたそう(笑)♪
ちなみにチェイニーさんの今作でグロートンというよく分からないキャラクターを演じていらっしゃるんですけど、予告編では“狂ったゾンビ”と呼ばれていたらしいですが、本編を見ると、博士の作った血清を打たないと凶暴化する口の聞けない妙なオッサンにしか見えませんっっ。

そして『Dracula vs. Frankenstein』というタイトルの映画が過去に製作されていない事が分かり、「じゃあこれで♪」と今作のタイトルが決まったそうです♪
そこでネイシュさん演じるドゥリェー博士がフランケンシュタインの子孫という設定が追加され、ドラキュラ役に名優ジョン・キャラダインを起用しようとしたそう。
しかし!ギャラがめっちゃ高いのが判明して断念、俳優の経験はあるけどあくまで本業は映画の資金調達というロジャー・エンゲルさんが、ザンダー・ヴォルコフという芸名でドラキュラを演じる事になったそうです(笑)。
こうして1971年の始めに撮影が再開されたそうですが、この時チェイニーさんは不参加だったとの事です。こうしてホラー映画として撮影を終えて、当初撮影していたバイカーシーンはけっこうお蔵入りしたそうなっっ。

そんな妙な経路を辿った今作、1971年の9月にロサンゼルスで上映されますと、これが酷評の嵐だったみたいで、ドラキュラ役のヴォルコフさんは「史上最低のドラキュラ」とまで言われたみたいですっっ。まあ、今作のドラキュラ、見た目が青白い厚塗りに化粧したオッサンだからなあ…顔は青白いのに手は肌色だったりするシーンあるし(笑)♪
内容としてはまあまあグロいけど安くて笑っちゃう出来のZ級映画と言ってもいいかと思われます。人体破壊描写もそこそこあるし、残酷な展開も多いんですけど、やっぱり安い(笑)。また死体なハズなのにつむった目がピクピク動いていたり、首チョンパした後の演者さんの顔のドアップで、首から下は見えないようになんかしてたりと雑♪♪
ただ安い出来ですけどフランケンシュタインのモンスターは独特の味があっていいですね♪ユニバーサルのモンスターのデザインを意識しつつ、豚っ鼻の愛嬌のあるモンスターで、ちょっとかわいい♪♪
こんな問題だらけの今作、実は主演のJ・キャロル・ネイシュさんとロン・チェイニー・Jrさんの遺作となってしまったそうですっっ。これが最期で良かったのか?まあ、味のある作品ですけどっっ。
で、今作の後日談として、アメリカで初めてDVDが販売された時、販売元はトロマ社だったそうです♪さすがです♪♪
そして日本で販売されているDVDは…著作権が怪しい(笑)ので、表立ってはここで紹介するのは控えますっっ。まあ、レンタルで借りたのコレなんスけどね〜っっ。

評価
IMDb | 3.5/10 |
Rotten Tomatoes | トマトメーター(批評家の評価)…0% 視聴者スコア…25% |
映画データベース-allcinema | 1.0/10 |
Filmarks | 2.7/5 |
Amazon | 3.8/5 |
こんな感じ♪AmazonはDVDを買った人が点数をつけているので高くなるのは分かりますが…でも低いですね(笑)。コメントを読むと実は「楽しい!」という意見が多いんです♪でもその前後に「ヒドいけど」という言葉もついてますけど(笑)。また単純にヒドいという意見も当然ありましたね(笑)。それとたまにエド・ウッド監督の『プラン9・フロム・アウタースペース』が引き合いに出されていまして、今作とアル・アダムソン監督の立ち位置がよく分かりました♪♪

あらすじ
その頃、首を切り落とされる残忍な殺人事件が次々と起きていた。
Amazonより引用
犯人は、フランケンシュタイン博士の助手だったのだ。
博士自身は車いす生活で自分では実行出来ない計画を助手に命じていたのだ。
同じ頃、何故か吸血鬼ドラキュラも二人に接近を図る。
斯くして、ドラキュラとフランケンシュタインの怪物による世紀の対決が幕を開けるのだ! !

キャストなど
ドゥリェー博士……J・キャロル・ネイシュ
1896年アメリカ出身。14歳で学校を飛び出して子供向けの劇団に参加したり、アメリカ海軍に入隊したり除隊したり、商船隊に入って世界の海に出て、結果8ヶ国語が話せるようになったり、なんかこの人すごいっぽい。
1926年の映画初出演の前からニューヨークやパリで舞台俳優としてキャリアを積んでいたそうです。1930年代に入りますと映画出演が激増していまして、その時期はサイレントからトーキーに変わった頃ですので、やはり声をちゃんと出せる俳優さんが重宝されたんでしょうね。
1943年『サハラ戦車隊』と1945年『A Medal for Benny』で二度アカデミー賞助演男優賞ノミネートをされ、『A Medal for Benny』ではゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞されたそうです。
また1943年の連続活劇『バットマン』では第二次世界大戦中という事もあり、日本帝国の秘密諜報員ドクター・ダカを演じたり、1957年から1年間放送されたドラマ『The New Adventures of Charlie Chan』では主演されたそうです。
先に書いたとおり今作が遺作となり1973年に77歳で肺気腫により死去されたそうです。亡くなるまでに200本以上の作品に出演されてたそうです。
現在日本で観れる主な出演作として『南部の人』『五本指の野獣』『ユーモレスク』『カナダ平原』『アニーよ銃をとれ』など。
また1944年『フランケンシュタインの館』ではボリス・カーロフの助手として出演、ロン・チェイニー・ジュニアと共演をされています。
グロートン……ロン・チェイニー・Jr
1906年アメリカ出身。【千の顔を持つ男】の異名を持つ名優、ロン・チェイニーの息子さんでどうしてもお父さんと比べられて苦労してるイメージがありますねえっっ。その苦労するのを分かっていたのか、お父さんはチェイニーさんが俳優になりたいと言った時に猛反対して、俳優にはさせなかったそうで、お父さんが亡くなる1930年までは全然別のお仕事をされていたそうです。
ただいつか役者の道にと思っていたようで、メイクや映画に関する事を習っていたり、会社の関係で(よく分からないですけど)舞台に立った事もあったそうな。
1930年にお父さんロン・チェイニーが咽頭ガンで亡くなるとほぼ本名のクレイトン・チェイニーで俳優活動を開始。1931年の映画に初出演しますがこの時はクレジットなしでした。しかし翌年からはいろんなジャンルの映画に出演し、1934年には『魔海の王者』で初主演をされたそう。その後も主演映画がそこそこ続きますが、ユニバーサルスタジオの強い要望により、芸名をロン・チェイニー・Jrにしたそうです。
その後もチョイ役から主演まで様々な作品に出演し1939年『廿日鼠と人間』で主演、この作品がアカデミー賞ノミネートになる大ヒット、ここで注目されたみたいですね。その翌1940年ユニバーサル映画『電気人間』でホラー初主演、これもヒット、そして1941年ユニバーサルホラー『狼男』が大ヒット!主役のローレンス・タルボットが見事ハマり役となり完全にホラーの人になっていったそう。
ただその後はミイラ男こそよかったものの、ドラキュラ伯爵やフランケンシュタインの怪物はハマらず一度しか演じていませんね(笑)。このホラーブームが過ぎるとホラー以外(特に西部劇)の作品やTVドラマでも活躍はされていたみたいですが、以前のようなヒットには恵まれなかったようです。
ただ晩年はお酒の飲み過ぎと喫煙でお父さんと同じ咽頭ガンや慢性の心臓病に苦しんでいたそうで1973年に心不全で亡くなっています。今作が遺作となっているんですが、今作の撮影の後に『男子禁制・女体秘密クラブ』という作品に出演されておりますが、先にこちらが上映されたという事で今作が遺作となっているみたいです。そうなの?って感じですね。
現在日本で観れる主な作品として『紀元前百万年』『北西騎馬警官隊』『フランケンシュタインの幽霊』『フランケンシュタインと狼男』『死人の眼』『真昼の決闘』『スプリングフィールド銃』『恐怖のワニ人間』『スパイダー・ベイビー』など。
吸血鬼映画としてはユニバーサルの『夜の悪魔(ドラキュラ伯爵)』『フランケンシュタインの館(狼男)』『ドラキュラとせむし女(狼男)』の3本に出演。また最低映画の1本として有名な『死霊の盆踊り』にもクレジットされてました(笑)。出てたっけ?
ジョディス……レジーナ・キャロル
1943年アメリカ出身。5歳の時には舞台のオーディションに行きまくり子役として舞台に上がっていたそう♪お母さんを15歳で亡くすとラスベガスでダンサーとして働き始め、その後俳優のスティーブ・コクランさんを通じて1959年の映画で俳優デビュー。
その後脇役やクレジットなしの配役などが続きますが1969年に今作の監督アル・アダムソンさんの『Satan’s Sadists』でジーナ役を演じ、今作のヒロインにつながります。
そしてアダムソン監督作の常連となり1972年にアダムソン監督と結婚され、その後も1983年の引退作『Doctor Dracula』まで俳優を続けていましたがレジーナさんもキャリアが止まっています。その後1992年に癌のため49歳の若さで死去されたそうです。
ただ現在日本で観れる主な作品は今作くらいしかないみたいっっ。残念!

マイク・ハワード……アンソニー・アイズリー
1925年アメリカ出身。アメリカ海軍勤務をへてマイアミ大学で演劇を習い、ペンシルベニア州の劇団に就職して舞台俳優デビュー。1952年にTVドラマ初出演。その後もTVを中心に活躍しています。
1959年から63年まで放送され日本でも放送された『ハワイアン・アイ』で主演してアメリカのお茶の間の人気者になったらしいですよ~。その後もTV、映画と活躍されたみたいです。1991年の映画を最後に引退されたようです。2003年に78歳で心不全で死去されたそうです。
現在日本で観れる主な作品として『蜂女の実験室』『裸のキッス』『地の果てから来た怪物』『タイム・トラベル』『シークレット・フィンガー』など。
ドラキュラ伯爵……ザンダー・ヴォルコフ
この方、概要にも書いたとおり、俳優さんじゃなかったんですよね(笑)。と言っても今作の前にアル・アダムソン監督の低予算ホラー『Brain of Blood』に出演されています。これだけみたいですけど(笑)。
ただ、今作の出演の後、国際即興演劇コンソーシアムの一員としてアッシュビル・プレイバック・シアターを共同設立、主にアメリカ南部の教育現場や刑務所で舞台やイベントを開催しているとIMDbに書いてありました♪
しかも今作がアメリカではどんどんカルト映画化しているそうで、それを本人もよく思ったみたいで、3本のドラキュラ映画を2025年現在制作中との話が入っています!ホントか?でも観たい!!
フランケンシュタインの怪物……ジョン・ブルーム/シェリー・ワイス(ラスト追加撮影)
今作の怪物、主にジョン・ブルームさんが演じ、変更したラストだけシェリー・ワイスさんが演じたそうです。
ジョン・ブルームさんは1944年アメリカ出身で1971年に俳優デビュー。大柄な体系をいかした役が多かったようでキテレツ極まりない事で有名な1979年の『ザ・ダーク』のダーク役を演じているそうですよ~(笑)♪またブックフットや1984年『カサンドラII』で死神を演じているそう。1992年の映画でキャリアは止まり、1999年に心不全で54歳で亡くなったそうです。
シェリー・ワイスさんは今作の代役がデビュー作のようです。しかしその後は俳優活動に目立ったものがなく、1997年のPVで俳優活動を開始、その後2004年に亡くなったそうで、遺作となる短編が2005年に発表されています。

監督……アル・アダムソン
1929年アメリカ出身。ドライブインシアターなどでかけられる安いエクスプロイテーション映画というジャンルの作品を数多く作った事で知られているそうです♪
お父さんのビクター・アダムソンさんが安いB級西部劇サイレント映画を多く作った監督/製作/脚本/俳優のすんごい人だそうで、1935年のお父さんの監督作に俳優として出演もされているそう。
1961年のお父さんの映画の手伝いをして自身も映画の道に進む事を決めたそうで、お父さんの紹介で今作の脚本を担当したサム・シャーマンさんとインディペンデント・インターナショナル・ピクチャーズを設立、映画製作を始めたそうです。
1965年『Psycho A-Go-Go(監督/製作/脚本/出演)』を発表。その後もお父さんを見習うように安いB級映画を作り続けたり、若いスタッフを育てたり、ちょっと落ち目の俳優さんたちを常に使ったり、ヒットしなかった映画のタイトルを変えて2本立てで上映して黒字にしたりといろいろされていまみたいですね。ちょっとロジャー・コーマンを思い出します♪
1983年に『Doctor Dracula』を最後に映画業界から遠ざかり、不動産業を営んでいたそうです。1992年に奥さんのレジーナさんが死去されましたが1993年に女優のスティービー・アシュロックさんと再婚しています。しかしアダムソンさんは3年後の1995年にフレッド・フルフォードという彼の住み込み請負業者とのトラブルで殺害されるという痛ましい最期を迎えています。まだ66歳だったということです。
ただ現在日本で観れる作品が今作以外ほぼなくてですねえ『ブラック・サムライ(監督/製作)』くらいしか見つけれませんでしたっっ。
個人的な感想
これ、DVDをレンタルで借りて観たんですけど、思ったより映像がキレイでまずそこに驚きました(笑)。なにせ発売元がちょっと著作権で問題がある(らしい)会社でしたのでっっ。
それでオープニングからすごい力強いんですよ画面が♪
おかげでその勢いに押される形で一気に楽しく鑑賞できました♪
その画面の迫力というか全体的な妙な違和感が終始気になって、話が入ってこないんですよね(笑)。おかげでイマイチ理解できてません(笑)。
でも何かよく分かんないのに楽しいんですよね(笑)。それとやたら元気でした!映画が(笑)♪♪
こんな感じの鑑賞になっちゃったんで、ホントに内容が分かっておらず(笑)、感想もただただ楽しかったとしか書けないんですけど、
思いっきり低予算のZ級に間違いはありませんので、今作を勘違いして面白いんだ!と思って鑑賞するのは注意しましょう。
私の書いている事はたわごとだと思ってください(笑)♪
そんな作品なので、最初からZ級映画を制覇したい人とか、私みたいに世界中の吸血鬼映画を観たるんじゃあ〜!的な人ぐらいにはおすすめできます(笑)♪
という訳で今回は『ドラキュラ対フランケンシュタイン』についてザックリ書いてみました♪♪
んじゃまた〜♪♪
しかしエコーのついた声でずっと話すドラキュラ伯爵は初めて観たなあ〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema、Rotten Tomatoes、Filmarks