
こんにちは、ヒッチです。
今回は1972年の映画『吸血鬼ブラキュラ』についてザックリ書いていこうと思います。
今回もなるべくネタバレナシの予定です。
吸血鬼ブラキュラ Blacula
監督:ウィリアム・クレイン
脚本:ジョアン・トーレス/レイモンド・コーニッグ/リチャード・グローバー
出演:マヌ・ワルディ(ブラキュラ)/ウィリアム・マーシャル
ルーバ、ティナ(2役)/ヴォネッタ・マギー
ゴードン/タルマス・ラスラーラ
ミシェル/デニース・ニコラス
ピータース刑事/ゴードン・ピンセント
サム/エリシャ・クック・Jr
ドラキュラ伯爵/チャールズ・マコーレイ
1972年/アメリカ映画/93分
概要
1970年代初頭に起こった“ブラックスプロイテーション”という映画のブームで作られたホラー映画の1本。“ブラックスプロイテーション”とはアフリカ系アメリカ人を客層として想定したジャンルの映画だそうで、そもそも“エクスプロイテーション映画”という物が1950年代からありまして、「興行成績をあげるため、センセーショナルな時事問題やタブーとされる題材をあえて取り上げている低俗な作品群を指す」ってウィキペディアに書いてありました。その黒人さんヴァージョンという事だそうです。知らんかった♪
で、このブラックスプロイテーションというジャンルの作品は黒人さん出演の大半をしめて、低予算の物が多いそうですが、この作品もそんな1本。明らかに低予算と分かります。役者さんのギャラがどれくらいかは分かりませんが、吸血鬼映画なのに血の量がめっちゃ少ないですし、特殊メイクも肌塗ったくらいにしか見えない物が多いですし、限られた場所での撮影だな〜ってのは見ればすぐに分かりますし、いろいろ雑だったりします。
ただ、この作品、内容も雑ではあるんですけど、妙なパワーとこの先どうなる?という気にさせてくれるので、けっこう最後まで楽しく観る事が出来るかと思います。
というのもこの作品、タイトルにも書きましたが、ブラキュラの恐怖というよりは、ブラキュラの一途の愛がテーマになっていまして、主人公ブラキュラの愛がどうなるのか、けっこう気になっちゃうんですよね。
そんな『ブラキュラ』を作ったスタッフの大部分がTVドラマを作っていた方達だそうです。監督のウィリアム・クレインもTVドラマ『The Mod Squad』という犯罪ドラマを手がけていた方だそう。そして主演のウィリアム・マーシャルはこの吸血鬼(映画史における最初の黒人さんの吸血鬼だそうです)を作り上げる過程でプロデューサー達と話し合い、威厳を持たせるキャラにする事になり、最初のアンドリュー・ブラウンからアフリカの国の王子マヌ・ワルディに変更をしたとの事です。
で、ここまで書くと威厳たっぷりな作品に感じるかもしれないんですが、サントラが当時流行っていたファンクでして、けっこう軽い(笑)。70年代初頭ってこんな感じだよね〜って思うくらい軽かったりします♪でもそれもこの作品には合っていると思いました。
そして完成した『ブラキュラ』、公開されると大ヒットを飛ばし、その年1972年の全ての映画の中でもトップクラスに入ったとの事です。こうなると当然続編の話も持ち上がり、翌年1973年には『吸血鬼ブラキュラの復活』が公開された他、ブラックスプロイテーションのホラー映画も次々と作られたそうですよ。
そんなこの作品、肝心の評価は賛否両論のようですがアメリカのサイトIMDbでの評価は⭐︎10点満点中5.7となかなかいい数字♪2021年にはリブートの話が持ち上がったらしいですが、現在どうなっているんですかねえ〜♪♪
序盤のあらすじ
1780年、トランシルバニアのドラキュラ城に招かれたアフリカの王子マヌ・ワルディと妻のルーバ。この国の盟主であるドラキュラ伯爵に奴隷解放と貿易の禁止に協力を仰いだマヌ・ワルディだったが、反対された挙げ句、吸血鬼と化した伯爵に噛まれ棺桶に閉じ込められて、妻のウーバもその棺桶の置いてある部屋に閉じ込めらて殺されてしまう。そして現代、空き家になったドラキュラ城をアメリカの若者二人が城内の骨董品目的で城ごと購入し、棺桶をアメリカに輸入したが……
キャストなど
タイトルロールの“ブラキュラ”ことマヌ・ワルディを演じたのはウィリアム・マーシャル。歯科医の元で生まれましたが演劇の道へ進み、1944年にブロードウェイにて俳優としてのキャリアをスタートさせたそうで、シェイクスピアの悲劇『オセロ』でタイトルロールを演じて、この方の代表作になっているらしいですよ。そんな舞台以外にも映画、TVドラマなどにもよく出演されていたそうで、最初の映画出演は1952年が最初だそうです。名脇役としての活動が主のようですが、この『ブラキュラ』の2作が代表作のようですね。他にもピーウィー・ハーマン(ポール・ルーベンス)主演のコメディ『Pee-wee’s Playhouse』に準レギュラーとして出演していたみたいですよ。2003年に亡くなっています。
マヌ・ワルディの奥さんルーバとその生き写しの現代の女性ティナの2役を演じたのはヴォネッタ・マギー。この方、弁護士になるよう家族に言われて大学に通っていたそうですが、そこで黒人差別の事を扱う黒人劇団、オルドリッジ・プレイヤーズ・ウェストで活躍を始めると、大学を中退してしまったそう。そして1968年にいきなり主役でスクリーンデビューを果たします。同年には『殺しが静かにやって来る』でヒロインを演じていますね。1972年『ブラキュラ』の他に『残酷欲情軍団(スゲー邦題だっっ原題メリンダ)』『ハンマー』と主要キャストを務めた作品が次々とヒットして、ブラックスプロイテーションには欠かせない女優さんになったみたいです。その他『黒いジャガー/アフリカ作戦』『アイガー・サンクション』『レポマン』などに出演。2010年に亡くなっています。
科学捜査研究所のゴードン博士を演じたのはタルマス・ラスラーラ。1960年にTVドラマのゲストでデビュー。その後もTVドラマのゲストなどで頭角を現し始め1968年『One Life to Live』という2013年まで続いたメロドラマのメンバーとして2年出演。その辺りから売れ始めて70年代に入ると、ブラックスプロイテーションの常連になり、映画、TV、舞台とかなり精力的に活躍していたみたいです。他の代表作として『大いなる決闘』『ROOTS/ルーツ』 など。1991年に亡くなっています。
ティナの姉でゴードンの彼女のミシェルを演じたのはデニース・ニコラス。この方も大学在学中に演劇に目覚め、中退してフリー・サザン・シアターという演劇グループの旗揚げに参加しました。そこで演劇をしながら1968年にTVドラマのゲストでデビューし、1969年のとTVドラマ『Room 222』のメインキャストを5年演じました。その頃にはもうしっかり売れっ子になっており、その後も精力的に活動されていますね。日本で公開された彼女の代表作として『荒野の襲撃・人質救出大作戦』『カプリコン・1』などがあります。
序盤に登場するドラキュラ伯爵を演じたのはチャールズ・マコーレイ。1961年映画のエキストラでデビュー。その後、主にTVドラマのゲストで俳優業をこなしていっていますね。ただその出演数が多くて、業界から使い勝手のいい役者さんだったのかな?って気がします。晩年は親友でもあったレイモンド・バー主演の『ペリー・メイスン』シリーズの常連になっていたようです。他の出演作として『ドクター・ゴードンの島』『野獣たちの群れ』『エアポート’77/バミューダからの脱出』などがあります。1999年に亡くなっています。

この作品の監督を務めたのはウィリアム・クレイン。1971年にTVドラマの1話を初監督。翌年この『吸血鬼ブラキュラ』で成功を収めます。その後もTVドラマの監督などを務めますが1976年にはプロデューサーにも名を連ねた『Dr. Black, Mr. Hyde(ジキルとハイドのブラックスプロイテーション版)の監督とかもしてますね。ただ、1990年のTVドラマを最後にちゃんとした監督作品がないので……干された?そして2016年に短編映画を発表するも2021年、TVドラマのゲストで俳優さんとして出演しています。何かスゲ〜。
この作品中、ナイトクラブで歌い作品を彩っている男女3人のグループはThe Hues Corporation。この方々、1969年にカルフォルニア、サンタモニカで結成され、1970年にレコードデビュー。ブレイクのきっかけはこの『ブラキュラ』の出演だったそうで、1974年のシングル『Rock the Boat』でビルボードチャートの1位を獲得したそうです。ただ残念な事に人気は長続きしなかったようで、1980年に解散したそうです。その後90年代にディスコブームがあったそうでその時に一度再結成をされているそうです。
個人的な感想
この作品、子供の頃から存在は知っていて、いつか観たい!って思ってたんですよね〜♪♪
今回フォワード様からDVDがリリースされまして、即買いして今回鑑賞させて頂きました。
で、感想は、
雑!(笑)
かなりツッコミどころあります♪♪
でも何か面白い!!
というかですねえ、私、もっとバカバカしい作品かと思っていたんですよねっっ。
だって『ブラキュラ』ですよ!
まさかこんな悲劇だとは思いもしませんでしたわっっ!!
そして出ている役者さん達がみんないい感じ♪♪
傑作とは全く思いませんが(笑)、キャラクター達がまあ独特で、
また時代背景的にも、まだ人種差別が色濃く残っているのが垣間見えたりで興味深く、
また展開が良くも悪くも思っている上に行ってくれるので(笑)、
最後観終わる頃には大好きな作品になっていました。
とにかく主人公の“ブラキュラ”マヌ・ワルディ役のウィリアム・マーシャルがとても良くてですねえ♪渋くて味わいのある役者さんで、ブラキュラという悲劇のキャラの魅力を倍増させていると思います。
ヒロインとそのお姉ちゃんも美人さんでとても魅力的だったりしますし、
あまり皆さん書かれていない気がしたんですけど、
序盤に登場するドラキュラ役のチャールズ・マコーレイさん、すんごくドラキュラが似合っていたと思いました。髭も蓄えて、威厳もありつつ悪魔の雰囲気も出しつつ♪♪
本当に役者さん達はみなさん素晴らしいですね♪♪
『ブラキュラ』なんてタイトルなので、
知らない人は私の様に100%色物と思って手に取るのは思うんですが、
それを越えるパワーがこの作品にはありますので、
吸血鬼に興味があって、まだ観ていないという方にはぜひおすすめしたい1本です。
という訳で今回は『吸血鬼ブラキュラ』についてザックリ書いてみました。
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema
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