
こんにちは、ヒッチです。
今回は1970年の映画『モンスター・パニック/怪奇作戦』についてザックリ書いていこうと思います。
今回もなるべくネタバレなしの予定です。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
モンスター・パニック/怪奇作戦 Los Monstruos del Terror
監督:ヒューゴ・フレゴネス、トゥリオ・デミケリ
脚本:ハシント・モリナ(ポール・ナッチー)
出演:ワーノフ博士/マイケル・レニー
マレーバ・ケルシュタイン/カリン・ドール
ヘンリー・トーブマン刑事/クレイグ・ヒル
ダニンスキー/ポール・ナッチー
キリオン・ダラー/アンヘル・デル・ポゾ
イルザ/パティ・シェパード
1970年/スペイン、西ドイツ、イタリア映画/86分
概要
1970年のスペイン、西ドイツ、イタリア合作映画。
タイトルにも書きましたが、脚本をこの作品以外でもダニンスキーという哀愁たっぷり狼男をちょっと薄毛で演じているポール・ナッチーさんがハシント・モリナの名前で執筆。
狼男ダニンスキーのシリーズとして12本作られたうちの3作目にあたります。
ただし、日本では第5作『ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア』の方が先に公開されていて、順序がごちゃついてます♪
ちなみにその作品群はこちら。
- 1968年 吸血鬼ドラキュラ対狼男:La Marca del Hombre Lobo(The Mark of the Wolfman)
- 1968年 Las Noches del Hombre Lobo(Nights of the Wolf Man)※この作品のみ、存在自体が怪しいと言われていて、フィルムは現存していない他、ナッチーさん以外にこの作品の存在を話す人がいない事、監督が撮影終了の1週間後に交通事故で亡くなったなど、ナッチーさんの宣伝の為のウソ作品とも言われています。
- 1970年 モンスター・パニック/怪奇作戦:Los Monstruos del Terror(The Monsters of Terror)
- 1970年 La Furia del Hombre Lobo(The Fury of the Wolfman)
- 1970年 ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア:La Noche de Walpurgis(The Werewolf vs. The Vampire Woman)
- 1972年 Dr.ジキルvs.狼男:Dr. Jekyll y el Hombre Lobo(Dr. Jekyll and the Werewolf)
- 1973年 El Retorno de Walpurgis(Curse of the Devil)
- 1975年 怨霊/女帝エリザベスの復活:La Maldicion de la Bestia(Night of the Howling Beast)
- 1981年 Night of the Werewolf(The Craving)
- 1983年 狼男とサムライ:La Bestia y la Espada Magica(The Beast and the Magic Sword)
- 1996年 Licántropo(Lycanthropus: The Full Moon Killer)
- 2004年 Tomb of the Werewolf(The Unliving)
これらの作品以外でも、数作品、狼男を演じているらしいです♪
ザッと調べた感じ、こんなみたいです。
邦題が付いているのは日本でも公開された作品、その中で現在DVD販売などで鑑賞出来る作品は、この作品と『モンスター・パニック/怪奇作戦』『Dr.ジキルvs.狼男』の3作だけみたいです。
もうちょっと入ってきててもよさそうな物なんですけどねえ。
で、今回のダニンスキーのお話は、地球を征服する為にやってきた宇宙人が、人間が信じている伝説のモンスターを生き返らせて全滅させようとするという、まるでエド・ウッド監督の“史上最低の映画”『プラン9・フロム・アウタースペース』!!
ちなみにコレですね♪
AmazonのDVD販売のページにも予算をかけたリメイク!的な事が書いてありますが、実際にナッチーさんが『プラン9〜』を知ってて執筆したかは不明ですね♪
そんな訳で狼男、吸血鬼、ミイラ男、フランケンシュタインの怪物、の4体が登場するんですが、本当はここに空飛ぶ円盤とゴーレムも参加する予定だったそう。
しかし製作中に財政難に見舞われ、その展開自体をカットしたそうな。
さらにフランケンシュタインの怪物の造形が、あまりにもユニバーサルのモンスターと同じだった為、作中はフランケンシュタインではなく“フランクスラン”と呼ばれていました♪しかもなんか顔が優しい♪♪
そんなモンスター総動員のこの作品、当時はこれが怖かったのかもしれませんが、
全然怖くなくスプラッタ的な要素もほぼないので、ホラーが苦手な方にも安心して視聴する事ができます。
しかし1ヶ所、妙にグロいシーンがありますのでそこだけ注意かも♪
また、制作途中に監督のヒューゴ・フレゴネスが3分の2を撮影したところで降板してしまった為、トゥリオ・デミケリが残り部分を撮影、完成させたらしいです。
と、まあトラブルの多かったこの作品、興行的にこけてはいないっぽいですが、現在の評価はあまり高くないようで、アメリカのサイトIMDbでの評価は⭐︎10点満点中4.1と微妙です。
それとこの作品、国によってタイトルが変わっているんですけど、
『Dracula vs. Frankenstein(ドラキュラ対フランケンシュタイン)』
『Dracula and the Wolf Man vs Frankenstein(ドラキュラと狼男対フランケンシュタイン)』
『Assignment: Terror(任命する恐怖)』
といろいろあります。
ちなみに原題の『Los Monstruos del Terror』は『恐怖の怪物達』という意味です。ドラキュラもフランケンシュタインも出ていないのにねえ。戦ってもないし。
邦題に関してはモンスターでパニックになってないし(笑)♪
そんな映画です♪♪

序盤のあらすじ
絶滅の恐れから地球へ移住するつもりの惑星ウモの使者、ウモ206ワーノフ博士の元にウモ星から伝達が来た。
それは戦時中に死んだキリオン・ダラー博士と交通事故死したマレーバ・ケルシュタイン博士の2人を助手として、伝説の怪物を蘇らせて人間を絶滅させるというものだった!!
キャストなど
『ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア』で紹介したポール・ナッチーさんと今回のヒロインの1人、イルザを演じたパティ・シェパードさんは割愛させていただきますね♪
惑星ウモからの使者ワーノフ博士……マイケル・レニー
デビューは1931年のエキストラ。その後もクレジットなしのエキストラを30年代は多く演じてらっしゃいますね。
その間は自動車のセールスマンや工場で働いて食いつないでいたらしいですっっ。
1939年になるとクレジットなしでも少しいい役がもらえるようになり、1941年『The Patient Vanishes』という作品で、ようやく自分名前がクレジットされました♪♪
しかしこの頃第二次世界大戦が勃発、レニーはイギリス空軍の予備校へ入り、そのまま空軍に配属されたようです。でもそんな時期でもちょっとづつ映画に出演されています♪どういう事?
そして44年に除隊した後、翌45年からは映画出演が順調に続き、1948年のTVドラマ『私立探偵スリム』では主人公のスリム役を演じたり、SF映画の金字塔『地球の静止する日』のクラトゥ役、また『タイタニックの最期』ではナレーションを担当するなど活躍されたようです。
そしてこの作品と『ストーニー』という作品が遺作と言われています。他の出演作として『黒ばら』『レ・ミゼラブル』『聖衣』『失われた世界』など。
マレーバ・ケルシュタイン……カリン・ドール
1953年の映画でエキストラとしてデビュー。
翌年にはちゃんとクレジットされる役をもらい、その後は主役級の配役も多くこなしスターの仲間入りをされていますね。
ちなみにドイツでは犯罪系の作品によく出演されていた事から、「ミス・クライム」と呼ばれていたらしいです。
ホントかな?多くの映画に出演されているんですが、舞台にもよく出演されていましてミュンヘンで行われた舞台では主役をよく演じていたみたいです。
2016年にベビーカーとぶつかって頭をコンクリートに強打した事故の後遺症が元で翌2017年に亡くなっています。
主な代表作として『怪人マブゼ博士・姿なき恐怖』『怪人フー・マンチュー』『私は彼女をよく知っていた』『大酋長ウィネットー』『トパーズ』『復讐の殺人鬼キャプテン・ゴア』など。
ヘンリー・トーブマン刑事……クレイグ・ヒル
この方20世foxの契約俳優として活躍されたそうで、1950年にエキストラでデビューしますが、同年の『イヴの総て』でリーダーという役をもらっています。
その後も数々の作品に出演。TVドラマ『ソニー号空飛ぶ冒険』では主役級の役柄を演じていますし60年代後半にはマカロニウエスタンに出演して人気を博したらしいです。
2014年に88歳で亡くなったそうです。主な代表作として『探偵物語』『情無用のならず者』『地獄の幌馬車』『ノルマンディ決死隊』『恐怖の地下壕』など。
キリオン・ダラー……アンヘル・デル・ポゾ
この方スペインの俳優さんで、1960年にスクリーンデビュー。
その後も名脇役として数々の作品に出演されています。
1974年には脚本、監督を務めた『¿… Y el prójimo?』という作品が公開されて、脚本こそこの1本だけみたいですが、その後、監督業にも精を出しており、1977年を最後に役者のキャリアは止まり、その後は監督、製作総指揮などの裏方に回ったそうです。
主な代表作として『地獄のガンマン』『さいはての用心棒』『ゾンビ特急地獄行き』など。

監督……ヒューゴ・フレゴネス/トゥリオ・デミケリ
概要にも書きましたがフレゴネス監督が3分の2を撮った辺りで降板、デミケリ監督が残りを仕上げたとのお話。
ヒューゴ・フレゴネスさんは1942年に副監督で初クレジットされて、45年に監督デビュー。
49年には脚本も書いていますが脚本は5本しかクレジットされていませんねっっ。
生涯に29本の監督作があり、いろんなジャンルと撮っていますが、比較的マカロニウエスタンが多いですかね。1975年の映画を最後に引退されたみたいです。
1987年に亡くなっています。主な代表作として『サドル・トランプ』『アパッチの太鼓』『デンボー牧場の争い』『吹き荒ぶ風』など。
トゥリオ・デミケリさんは脚本家兼監督さん、時にプロデューサー。
1944年に脚本家デビューし1950年に監督としてもデビュー。
1964年にプロデューサーとしても仕事を広げています。生涯に脚本64本、監督作55本というけっこうすごい数のお仕事をされた方です。
この方もいろんなジャンルを手がけているようですが、タンゴ映画制作(というジャンルがあるらしいです)で有名な方のよう。しかし日本にはあまり入ってきておらず、デミケリさんの関わった作品は6本しかないそうです。
そんな作品達は『ベロと8人の子供たち』『新・海賊ブラッド』『ワイアット・アープ』などありますが現在DVDで販売されているのは今作と『ジュリアノ・ジェンマの くたばれカポネ』の2本のみ♪♪1922年に亡くなっているそうです。
個人的な感想

この作品、なんか面白くなるまでが長かったです〜〜〜〜っっ。
もう途中で何回挫折するかと思いました〜〜〜〜っっ。
まず昔の作品という事とかもあるかもなんですが、
序盤から「なんだこの展開?」ってちょいちょい思ってしまい、
私は楽しめませんでした〜〜〜〜〜っっ。
そこが楽しめればたぶん面白く観れる作品かとは思うんですけどっっ。
ただ、ワーノフ博士を追い詰めるヘンリー刑事は何気にかっこよかったですし、
事件が元でちゃっかり彼女になるイルザがめっちゃキュートで可愛かったので、けっこういいカンフル剤になってて観れましたね。
しかしイルザ役のパティ・シェパードさん、次作で吸血鬼を演じるとは思わんかっただろうな…
しかし肝心のモンスター達のメイク…というかデザインというか…
フランケンシュタインは概要にも書いたとおり、妙にかわいいし、
ミイラ男は身体全体が細いし泣き顔だしで迫力がないし、
吸血鬼は…まああんなものなのかなあ…顔を青く塗って牙をつけただけだし……
で、ナッチーさんの狼男もなんか肌色がけっこう残っている感じでイマイチだった気がしましたね〜っっ。
で、それなりに盛り上がっていく後半も……ねえって感じで、
最後までそこまで面白い作品とは思えませんでしたっっ。
やっぱりモンスター総出演的な作品って当たりがない気がする〜……。
元ネタと言われている『プラン9〜』もあまり覚えていないので比較できないですが、
まあ、あれよりは面白いのか?そんな感じです。
ポール・ナッチーさんのファンか、古典ホラーマニアの方には史料的な意味でおすすめしても良いかもしれませんね。
という訳で今回は『モンスター・パニック/怪奇作戦』についてザックリ書いてみました。
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema