こんにちは、ヒッチです。
今回は1970年の映画『ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア』についてザックリ書いていこうと思います。
今回もなるべくネタバレなしの予定です。
※その前に、吸血鬼年表を作りました。よかったら見てやってくださいませ♪
ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア LA NOCHE DE WALPURGIS
監督:レオン・クリモフスキー
脚本:ハシント・モリナ(ポール・ナッチー)/ハンス・マンケル
出演:ウォルダマー・ダニンスキー/ポール・ナッチー
エルヴァイラ/ギャビー・フックス
マルセル警部/アンドレス・レシーノ
ジェネビー/バーバラ・カペル
ワンディーサ・ダーブラ・デ・ナダシー/パティ・シェパード
1970年/スペイン、西ドイツ映画/86分
概要
1970年のスペイン、西ドイツ合作映画。
スペインでは『LA NOCHE DE WALPURGIS』というタイトルですが、
1972年にアメリカで公開された時のタイトルが『The Werewolf vs. The Vampire Woman』でして、
現在日本でDVDや配信で観れるのはこちらのヴァージョンのようですね。
主演のポール・ナッチーさんの魅力全開の作品で、当時スペインでは大ヒットを記録してスペインのホラーブームの火付け役になっただけでなく、
主演のポール・ナッチーさんの出演されている作品の中で、1番興行収益が高かった作品だそうで、
それゆえにナッチーさんはスペインの怪奇スターの道を歩んで行くのでした。
また、ポール・ナッチーさんが演じたダニンスキーという狼男は本人の当たり役という事もあってか、
生涯に12作ものダニンスキーを演じたらしいです。
この作品は、そんなダニンスキー映画の5本目にあたる作品だそうです。
ただし、毎回ダニンスキーはリセットされて違うキャラらしいですよ。
ちなみにその作品群はこちら。
- 1968年 吸血鬼ドラキュラ対狼男:La Marca del Hombre Lobo(The Mark of the Wolfman)
- 1968年 Las Noches del Hombre Lobo(Nights of the Wolf Man)※この作品のみ、存在自体が怪しいと言われていて、フィルムは現存していない他、ナッチーさん以外にこの作品の存在を話す人がいない事、監督が撮影終了の1週間後に交通事故で亡くなったなど、ナッチーさんの宣伝の為のウソ作品とも言われています。
- 1970年 モンスター・パニック/怪奇作戦:Los Monstruos del Terror(The Monsters of Terror)
- 1970年 La Furia del Hombre Lobo(The Fury of the Wolfman)
- 1970年 ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア:La Noche de Walpurgis(The Werewolf vs. The Vampire Woman)
- 1972年 Dr.ジキルvs.狼男:Dr. Jekyll y el Hombre Lobo(Dr. Jekyll and the Werewolf)
- 1973年 El Retorno de Walpurgis(Curse of the Devil)
- 1975年 怨霊/女帝エリザベスの復活:La Maldicion de la Bestia(Night of the Howling Beast)
- 1981年 Night of the Werewolf(The Craving)
- 1983年 狼男とサムライ:La Bestia y la Espada Magica(The Beast and the Magic Sword)
- 1996年 Licántropo(Lycanthropus: The Full Moon Killer)
- 2004年 Tomb of the Werewolf(The Unliving)
これらの作品以外でも、数作品、狼男を演じているらしいです♪
ザッと調べた感じ、こんなみたいです。
邦題が付いているのは日本でも公開された作品、その中で現在DVD販売などで鑑賞出来る作品は、この作品と『モンスター・パニック/怪奇作戦』『Dr.ジキルvs.狼男』の3作だけみたいです。
もうちょっと入ってきててもよさそうな物なんですけどねえ。
話はこの作品に戻りますが、この作品の監督を担当したレオン・クリモフスキーもこの作品を機にホラー映画を沢山監督されたそうで、この後ナッチーさんとは計8作タッグを組んだそうです。
ただ、観てもらえば分かるんですが、70年代だな〜っって雰囲気が強くて、古臭さがハンパないですっっ。
残虐シーンも当時は凄かったかもしれませんが、スプラッタ全盛の現代からしたら、何ともないでしょう。
しかし作品全体に流れる不気味な音楽や雰囲気はなかなか良くてですねえ。
展開もムリクリな感じがまあまあしますが、最後まで観せるパワーはあるのかな〜って感じです。
こんな成功を収めたこの作品、肝心の評価は悪くはないけど良くもない…という微妙な点数でしてっっ、アメリカのサイトIMDbでの評価は⭐︎10点満点中5.3。納得♪
序盤のあらすじ
昼にしか見えないけど真夜中の死体安置所にやってきた監察医の2人。1人は狼男の話をし、その遺体が狼男だと言う。しかしもう1人はこんな科学の時代に!とあしらうのだが、胸に埋まっていた銀の弾を抜くと……
キャストなど
ダニンスキー……ポール・ナッチー
大学へ入った頃は建築士を目指していたそうですが、元々スポーツ万能だったみたいで、重量挙げ選手のライト級のスペインチャンピオンになったそうです。
そのかたわらジャック・ミルズというペンネームでパルプ小説(やっすい小説)を発表したり、雑誌の表紙を描くイラストレーターとしても活躍していたそう。
天才じゃん。そしてその体格をかわれて俳優としてのキャリアをスタートさせたんだそうですよ。
俳優としてのデビューは1960年の映画。しかしその後、エキストラが続き、数年は苦労されていたみたいですね。
転機となったのはハシント・モリナという名で自ら脚本を書いた狼男ダニンスキーの映画『吸血鬼ドラキュラ対狼男』。
この作品も脚本を売った時点ではナッチーさんが出演する予定ではなく、ロン・チェイニー・Jrをキャスティングするはずだったようです。
しかしロン・チェニーが断ったため、ナッチーさんが引き受けてダニンスキーを始めて演じ、それが大ヒットとなり、スターになるきっかけとなったみたいです。
その後、狼男ダニンスキー以外にもいろいろなモンスターを演じて、70年代のホラーアイコンとなっていたそうです。その後1977年には監督デビューも果たしています。
しかし80年代に入ると人気が低迷して、自分が経営していた会社が経営破綻したりと大変だったようですが、その後もB級ホラー映画やビデオに出続け、2009年にガンで亡くなるまでホラーアイコンの地位を守り抜いたそうです。
主な代表作として、『ヘルショック 戦慄の蘇生実験』『怨霊/女帝エリザベスの復活』『悪魔の死体蘇生人』『黒騎士のえじき』など。
エルヴァイラ……ギャビー・フックス
1968年にスクリーンデビュー。
その後数作品脇役やエキストラを経験したのち、1970年『Schmetterlinge weinen nicht』という作品でヒロインを演じています。
その後、この作品のヒロインにも抜擢されたんですが、結婚でもされたのか、74年あたりから仕事量が確実に減っているんですよね。
しかもTVドラマのゲストぐらいしかしなくなり、1991年のTVドラマのゲストからだいぶ経った97年のTV映画の出演を最後にキャリアが途絶えてしまっています。
ジェネビー……バーバラ・カペル
1968年スクリーンデビュー。その後お色気系コメディによく出演されていますね(笑)。
そしてこの作品に出演された後ぐらいからTVドラマへシフトしていますが、77年に女優のキャリアを終わらせています。
ただ、俳優さんと結婚した事もあってか、脚本家として1984年から数作品クレジットされていますので、裏方に回ったというところでしょう。
女吸血鬼ワンディーサ・ダーブラ・デ・ナダシー……パティ・シェパード
もともとアメリカ空軍の職員の家庭に生まれ、スペインには18歳で移住したそうです。
女優をする前にTVのCMに出演していたそうで、女優としてのキャリアは1966年の映画でクレジットなしなんだそう。
その後も脇役やクレジットなしの作品が多いんですが、ナッチーさんのダニンスキー映画『モンスター・パニック/怪奇作戦』でホラー作品に出演すると、その後もホラー映画の常連になっていったみたいですね。
ナッチーさんとも共演が多いそうですが、それ以外にも西部劇やコメディなどにも多数出演されていて、単純に売れっ子さんだったみたいですね。
1988年に女優業は引退されましたが、2013年、スペインのご自宅で心臓発作で死去されたそうです。
監督……レオン・クリモフスキー
この方予想よりもお歳だったみたいで、1906年にアルゼンチンで産まれています。
1929年にはアルゼンチン初の映画協会を設立した方で、その頃は映画製作はしておらず、資金提供をされていたみたいですね。ちなみに歯医者さんだったらしい♪
1945年に脚本家として初めてクレジットされ1948年に初監督。その後1950年代になってアルゼンチンからスペインに移住し、そちらでも映画を作り続け、59年には俳優デビューもされています♪
作品ジャンルも西部劇、コメディ、ドラマと多岐にわたっており、ホラー専門という訳ではなさそうですね。
1979年、73歳で監督業を引退されましたが、1995年、89歳の時にスペイン映画監督協会から名誉賞を受賞されたとの事です。そして翌96年、心臓発作で亡くなったそうです。
個人的な感想
吸血鬼映画のDVDを検索していて、妙に古いポスターがそのままパッケージになって販売していたので、いつかは買いたいなあ〜…と思っていたんですよね。
内容は全く知らずに。
しかしAmazonで配信している事に気がついてしまったのでそのまま鑑賞♪
で、感想は…古い!
もう古臭さが爆発してる(笑)♪♪70年代の映画の雰囲気が超苦手な私としては、
最初辛かったです〜っっ。
しかも安っぽいしっっ。
しかも展開が雑!に感じたのは私だけですかねえ?
冒頭の出来事があってからの本編なので、
途中までナッチーさんことダニンスキーさんが、
どういう立ち位置なのかよく分かんなかったですっっ。
ただそれも話が進んで行くと「あ〜、そういう事〜」ととりあえずなるし、
なんだかんだで話はまとまっているので、
まあ、面白かった……のかあ?
何だかよく分からない気分になりました。
なのでIMDbの評価もなんだか納得してしまうのでした。
でも悪いところばかりではなくて、
演者さん達が個人的にはとてもよかったです♪
ナッチーさんの常に何かを抱えているような表情や、
ヒロイン達の美しさなど、
内容が気になっても、演者さん達の魅力でけっこう観れた印象です。
そして86分でここまでいろんな見せ場があって、ちゃんと完結している作品というのは、
何気にすごいコトなんじゃなかろうか?
おと思ってしまうのでした。
なので、古典的なモンスター大集合的な作品が観たい人には、そこそこおすすめ出来る作品かと思います。
という訳で今回は『ワルプルギスの夜 ウルフVSヴァンパイア』についてザックリ書いてみました。
んじゃまた〜♪♪
※参考文献、ウィキペディア、IMDb、映画データベース-allcinema